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話が飛躍しすぎて私にはついていけないや。
大人しくリドル君達の所で待機してれば良かった。

何で追いかけようと思ったんだろう。

私が一番知りたいよ。


「…痛そう」
「もう僕は知りません」
「元気出して」


遠い目で彼らを見ているユウ君。

その儚げな表情のまま気付いたらいつもこうなるんだよなぁと嘆いている。

言いたい事は本当によく分かるよ。

だからね、そんな悟った顔をしないで。


「ユウ君は私の癒しだよ」


この学園で唯一と言っていい。

アジーム君やシルバー君も癒されるけれど厄介な人が周りに居るから。

可能であるならあまり近づきたくないのが本音で、その点ユウ君の周りはまだ安心出来る。

巻き込まれ体質だと思うけれど物理的に危険なだけだもん。

そっちの方が私の心的には穏やかなんです。


まあ何方にせよ寿命は縮みますけどね。


もう少し穏やかに過ごせないのかなって幾度思った事やら。

それを望んだとて、ちっとも聞き入れてくれないのが此処の生徒って感じだ。


口に出した事なんて一度もありませんけどね。


「先輩はこの学園の華ですよね」
「え、何処を見てそう思ったの?」

全然虐げられてるよ。

ちょっと大袈裟に表現したかもしれないけど、自分で言うのも何だけど、結構な確率で嫌われてると思うよ。

いや本当に全然自慢にもならないんだけどね。


「染まりきらない所…とか」

何に?どれに?

頭上にはてなを浮かべ首を傾げてると、彼はあの困った顔で笑った。

「親近感が湧くって事ですよ」
「ここは褒め言葉として受け取るね」

真意は何にせよ、そう思われていたのは素直に嬉しい。

私が抱いた彼への第一印象と同じという事でしょう?

それって何だか以心伝心みたい。


「似た者同士みたいだね」
「あんまり言うとリドル先輩に怒られそうなので、これくらいで」
「何で急にリドル君?」


私が尋ねると彼は歯を見せて笑う。


「これは手強い」


初めて見た笑顔が眩しくて、言葉の意味を問う時間も惜しいくらいに目を奪われた。


彼は、こうやって笑うんだ。


いきなりこんな所に連れられて戸惑う事も多かっただろう。

だから上手く笑えなかったのかもしれない。


此処に慣れてきたのだろうか。


そうこうしている間に一年生の殴り合いが終わった。

所属寮を裏切る事になるからけじめをつける為に必要であったとハウル君は言う。


あの怠け者が治める寮の子だとは思えない程の真面目さに、思わず感嘆の声が漏れた。

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りん(プロフ) - ラムさん» はじめまして!そう言っていただけると此方も凄く嬉しいです!ゆるゆる更新になってしまうかもしれませんが、頑張ります!ありがとうございます! (2020年9月27日 0時) (レス) id: 6f476b47f8 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 話しの続きが気になる (2020年9月26日 16時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りん | 作成日時:2020年8月27日 15時

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