15 ページ15
「トラッポラ君が付けてたのって流行ってるの?」
「…さぁ どうだろう」
質問に曖昧な返事をするリドル君。
もうちょっと興味を持ってほしいかな。
この間も見かけたんだよね、うちの寮生が付けてる所を。
だからそういうお洒落なのかと思ってたけど、さっきトラッポラ君が付けてるの見て考えを改めたの。
流行りとか気にする人に感じなくて。
…失礼だって事はとてもよく分かっていますので出来れば内密でお願いします。
「ダイヤモンド先輩に今は何が流行してるのか訊こうかなぁ」
そういうのに敏感だし、私も流れに乗りたい。
流行とかよく分かってないのが正直な所ではあるんですがね。
理解しようと努力はしてるんだよね。
シェーンハイト先輩に何度も怒られた経験を持ってるし、何なら現在進行形でもっと見た目に気を使いなさいとお叱りを頂く。
そろそろ寮に連行されそうで怖いのです。
あの顔で追いかけ回されたら私の全細胞が悲鳴をあげます。
綺麗な顔立ちだからこそ圧が凄いと言うか…。
兎に角、何としても避けたいんだよね。
「キミが恐れてるのはヴィル先輩じゃなくて」
「しーっ!名前を出しちゃだめだよ。何処で聞いてるか分からないんだから…」
勿論、シェーンハイト先輩の眉間に皺を寄せた顔は見たくない。
でもそれより起こってほしくない事がまた別にある。
優秀な私の勘が言ってるのだ。
あの狩人はやばいと。
「そんな身構えるような人物かい?」
「リドル君も油断してると狩られるよ」
学園長並みに気配しない時が多いんだもの。
警戒だってするよ。
あのライオンもハイエナも、ウツボでさえも手を焼いてるんだからね。
そんな相手に私なんかが敵う筈ないのだ。
胸元で抱えた教科書をぎゅっと握り異変に気づく。
「あれ、大食堂に筆箱忘れちゃったかも」
「取りに戻ろうか」
「ちょっと見てくる」
リドル君も一緒に行こうとしてくれてたみたいだけど、申し訳ないので断った。
急いで来た道を引き返す。
中にマジカルペンも入れてあるから、万が一盗られでもしたら困るのは私なのだ。
「あれ、A先輩じゃん。どーしたんすか?」
そこには先程と同じ顔ぶれがお喋りを続けていたらしい。
先輩達は大丈夫だと思うけど、彼らはちゃんと午後の授業に間に合うのかな。
「ここら辺に筆箱落ちてなかった?」
「それらしい物は見てないです…」
あ、また困った顔してる。
何だかわんちゃんみたいで可愛いなぁと思った。
ちゃんと褒めてるよ。
363人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りん(プロフ) - ラムさん» はじめまして!そう言っていただけると此方も凄く嬉しいです!ゆるゆる更新になってしまうかもしれませんが、頑張ります!ありがとうございます! (2020年9月27日 0時) (レス) id: 6f476b47f8 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 話しの続きが気になる (2020年9月26日 16時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りん | 作成日時:2020年8月27日 15時