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「知らんふりしないで」
「本当に分かんないだよ」
「Aお姉さんが嘘を吐く時の癖、ボク知ってるよ」
「え?」

(嘘を吐く時の、癖…?)

何やってるっけ。全く身に覚えがない。

というか本当によく見てる。
少しの誤魔化しも通用しないだなんて厄介この上ない。

「それはきっと、ただ同じ行動をしてただけだよ」
「…ボクじゃ頼りにならないんだね」
「え…っと、そういうわけじゃ…」
「蘭姉ちゃんが心配してるだろうから、ボク帰るね」
「えっ、あ…うん」

あんな悲しそうな顔をするとは思わなかった。
それにあれだけ食い下がってた彼が家に上がりもしないで帰るなんて。

ごめんね、そんな顔をさせるつもりじゃなかったの。
でもどうしても自分の問題に巻き込ませるわけにはいかないんだよ。
それは自分自身が許せないの。

「…ごめんね」

せっかく心配してくれたのに、私はそれを投げ捨てるような事をしたんだよね。
最低だよね。

でも、言えっこないよ。


送られた物を手に取ってそのままごみ箱に捨てた。

こんなのが来るからいけないんだ。
もし来てなかったら彼を悲しませる事もなかっただろうし、彼も私なんかの心配をしなくても良かった。

「本当に何なのこれ…」

怒れてくるし、ただ怖いし、もう何が何だか。

コナン君に謝罪の連絡を入れた方が良いのかな。
巻き込みたくなかったが故の結果がこれじゃあね…。

私は一体何がしたいのだろうか。

「…寝よ」

現実から目を逸らしたい。
幸せな夢の中で暮らしていたい。

できることなら一生。

悲しい哉、不可能な事ばかり。
私が生きるにはちょっと難しい世界なのかな。

人生が楽々な人って存在するのだろうか。
会ってみたい。
それで聞き出すんだ、どうやってそうなったの?って。

聞いたところで無意味なんだろうけど。

私の平凡な生活が遥か遠い昔のように感じてしまう。
大変だな…目を逸らしたままだったからそこまで難しくなかったのかな。

でも、真実に目を向けざるを得なかったからなぁ…あの人達のお陰で。

どっちが良かったんだろう。
以前か今か。

分からないや。

がさごそとベッドに潜り、目を閉じた。
今日の出来事が嘘であります様に…なんて願いながら。

それがまた目を逸らしているんだって事は分かっているけれど、せめて解決方法が見つかるまでは許してもらいたい。

私は彼らみたいに頭が宜しくないの。


だってまさか自分がストーキングされてただなんて思うわけないじゃない。

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作者名:りん | 作成日時:2018年3月22日 22時

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