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「っ……」


"さすって"と書かれた手の甲を一生懸命擦る。
こっちを見て笑っているみんなが、すごく嫌だった。

屋上で、せっかく水瀬さんと話せたのに、あの先生が来てから今も、嫌で嫌で仕方がない。
消えない文字をいつまでも擦っている自分が、すごく惨めだった。


「…何してんの」

はっと顔を上げると、ポケットに手を突っ込んでこちらを見下ろす水瀬さんがいた。
反射的に左の手の甲を隠す。

その手を取って、なにこれと水瀬さんが口を開いた。


「A、ハマグリゲーム知らないの?」

「ハマグリ?」

「お前、調べてみろよ!たくさん動画出てるから!」

「ふうん」


興味なさげに返事をして、水瀬さんは尚も自分の手を取ったまま川崎さんに動画を見せてもらっている。
恐らくひとつだけ動画を見終わって、握られたままだった自分の手にようやく視線を移してくれた。

「何か仕込んでる?」

「…えっ、ううん…何も、」

「だめじゃん」


ふっと笑った水瀬さんが僕の手を放して、日焼け止めで落ちるらしいよと一言。
日焼け止め?と首を傾げた僕に、それ、と文字の書かれた手の甲を指す。
そのまま通り過ぎてしまった水瀬さんにお礼を言おうと振り向くと、そんな彼女を見ている明智が目に入った。

そして、それも一瞬。
こちらを向いた明智の、冷たい目が怖くて前を向く。
ドキドキとしている胸を落ち着かせようと、日焼け止めなんか持ってもいないのに手洗い場へと走った。









放課後、靴を履き替えている水瀬さんを見かけた。


「あっ…」


思わず声が漏れて、水瀬さんが振り返る。
そうだ、お礼。お礼を言ってない。


「さっきは、あの、ありがとう…!」

「さっき?」

「ハマグリ、ゲーム…」

「ああ」


何もしてないけど、とこちらを見て笑う。
落とせた?と聞かれたけど、日焼け止め、持ってなくてと正直に答えてしまった。


「そっか。私も今持ってないから、家に帰ったら、ちゃんと落とすんだよ?」


優しい声色でそう告げた彼女に、頷くのが精一杯。
今日は少しだけいい日だなんて思って、恥ずかしかったから聞こえないくらいの小声でバイバイ言うと、彼女には聞こえてたみたいで、またねと返してくれた。









「なあなあ、お前とやりたいことあんだけど」


帰り道、東条達に声をかけられた。
やっぱり、少しだけしか、いい日じゃないみたいだ。

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ハル - すごく大好きです!更新も無理せずにゆっくりでいいので、楽しみにしてます! (6月16日 0時) (レス) id: aceffff8a7 (このIDを非表示/違反報告)
なー(プロフ) - 鶴さん» ありがとうございます!更新は遅いですけど読んでいただけると嬉しいです(^o^) (6月12日 13時) (レス) id: 3cdd23f11d (このIDを非表示/違反報告)
- すごくはまってしまいました! 続きも楽しみにしています! (6月4日 22時) (レス) id: c081e3d2cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なー | 作成日時:2019年6月2日 21時

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