銃兎 記念日編 ページ11
※付き合って丁度一年の記念日の設定です。中々記念日の話に移りませんが、大目に見てください。
今日は、銃兎と付き合って1年の記念日。彼とは警察官の同僚として知り合った。
同期として入り、一緒に行動することも多かったせいか、私は彼に惹かれていった。
見た目はインテリな眼鏡、理屈で通すような嫌なやつ。だって、彼の基本は理詰めだもの。
正直とても嫌いだった。真面目に捜査してるかと思えば、影で煙草を吸っているような奴だし。
それにいつの間にかヤクザと馴染んで、いろいろ悪事を働いているし。
ほんとに、何でこんな奴好きになったんだ？笑
私が彼に恋をした日のことを話そう。
私の身長は165�僂判�子の中では割りと高めで、柔道や空手やら体術には長けていた。
だから、男相手でも怯まず取り押さえることも多かった。あんなほっそい銃兎よりは強い気でいたし。
そんなある日のことだった。銃兎と他の警官、合わせて結構な人数でヤクザを取り押さえにいった。
やる気は十分。だったのに。
まさか捕まってしまうとは……。力が強すぎて、全然抵抗できなかった。
「ねえちゃん、女なんだから少しは考えなよ？男相手に勝てる訳ねぇって」
「……」
「どーれ、ちょっくら力になってもらおうかなー？」
私を見つめる男の目が危ない色を纏った。一番奥の部屋まで両手を掴まれ引きずられる。
手首は赤く痕がつき、何度も殴られたせいで顔や腹は痛い。
「警官なら、拳銃も持ってるよなぁ〜？」
「……」
「黙ってねぇで何とか言えや！もっとひでぇことされてぇのか！ 」
ここで言い返したら、あっちに乗ることになる。我慢しなきゃ。
「じゃあ、ずっと黙っとけよ」
男は私の口にガムテープを巻き、両手両足を縛り付けた。そのときだった。
銃兎がドアを片足で蹴って入ってきたのは。煙草を片手に余裕そうな顔して。
拳銃を取られたことを何とか伝えようとするも、絶対に伝わっていない。このままじゃ、命が危険だ。
「全く、何捕まってんだ。仕事を増やさないで欲しいものだが」
はぁ、とため息をついた彼は、煙草を床に捨て靴で踏み潰した。
私のそばにいた男は奪い取った拳銃を彼に向けている。男の指が引き金を引こうとした時。
「馬鹿ですねぇ」
と少し笑みを浮かべ、銃兎は男を蹴り飛ばしていた。一瞬の出来事に目を疑う。
男は気絶して床に倒れ、銃兎が見下ろしている、それが今起こった事実だった。
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作者名：袴田 怜 | 作成日時：2018年12月17日 1時
