5話 ページ6
Aが慌てて否定すると、先程泣いていた少女も反抗してきた。
「私も泣き虫なんかじゃないよ!」
『へ…?』
少女は涙を乱暴に拭うと、周りと異なり1人だけ怒った表情を浮かべた。思わぬ反応に、二人は困惑してしまう。新一が「泣き虫だろ!」と言い返すと少女も言い返し、そんな二人の言い争いを見てAは心配そうにおろおろとそれを見守った。
「あ!いた!!」
すると不意に、大きな声が教室に響き、有希子がズカズカと新一とAの方に向かってきた。新一はバツが悪そうに顔を歪める。
「げっ、」
「もー!入学手続き中に居なくならないでよ……ってあら?!二人とも名札は?!」
荒々しく騒ぎ立てる有希子に、Aがすぐに弁解した。
『どっかに落としちゃったみたい。だから、この子に名札作ってもらおうと思ったの』
Aが少女を指差すと、有希子は知った顔だったようで嬉しそうに話し始めた。それをうんざりしながら聞いていると、ふと、鋭い視線をどこからか感じる。
顔を上げると、それは担任の江舟が少女を見つめている視線だと分かった。
『し、新一……』
「あぁ、」
二人はその視線を黙って凝視した____
「ねえ、名札ないならコレあげるよ」
『え?あ、う、うん…』
有希子の話が終わると、江舟が新しい名札を作ると提案し、少女は泣き腫らした赤い目のままAに話しかけた。
江舟の鋭い目付きが気になっていた彼女は、思わず曖昧に返事を返しながら少女を見る。布団の下に入れ込まれているくしゃくしゃの名札には「もうり らん」と書いてあった。
(ふうん、この子らんっていうんだ…)
「ふたりとも、お名前は…?」
上目使いで見上げられたAは恥ずかしそうに頬を赤く染めると、新一の隣に立ちなおして蘭を見下ろした。
『櫻井A』
「工藤新一」
「『さくら組だ/よ!』」
名前を聞いた蘭は、二枚の桜にそれぞれの名前を声で綴りながら書きとめた。まだ汚く幼い子の書くひん曲がった文字だが、それでもAは何故か蘭に言葉では表しにくい感情を抱いていた。
「はいっ!出来たよ!!」
『わあ、ありがとう!』
「あ、ありがとな…」
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mリン(プロフ) - 宵夜さん» こんにちは、コメントとご指摘ありがとうございます!修正が上手く行ってなかったようです。教えてくださりありがとうございました。また何かありましたらコメント宜しくお願いいたします! (2022年3月20日 16時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
宵夜(プロフ) - とても面白くて良かったです!少し質問なんですが、ページ14の『(小さくなったあなたの仮名)』って目次ページで設定したものですか?変換されていないようでしたので一応報告と思い…不快であれば消して頂いても構いません。 (2022年3月11日 0時) (レス) @page14 id: 5d45bacd52 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - マナさん» 久しぶりにきたのでご返信が遅くなってしまい申し訳ありません。数年前の私が作成した拙い内容ですがそれでも宜しければどうぞ使ってやってください…!わざわざコメントありがとうございます! (2022年2月20日 14時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 私なりに作品を参考させてもらっていいですか? (2022年1月30日 8時) (レス) @page1 id: 25d45421cb (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!映画沿いもありますので是非ご覧ください。 (2019年5月22日 7時) (レス) id: 148773b33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2017年4月21日 21時