小さくなった二人の探偵…１話 ページ42
眼鏡のレンズを慌ててはずし、机の裏へと回り込んだ蘭に背を向けていれば、蘭が無理矢理二人を自分の方へと向かせた。彼女にマジマジと見つめられ、Aは冷や汗がどっと吹き出る。
「………こ、この子達……」
どっ、どっ、と心臓がとても速く脈打った。新一も同じように冷や汗をかいている。やばい、まずい。どうしよう。
ばれたか…？
「かっ、わいい〜〜！！！」
心配していた二人だったが、蘭の第二声は的を外れていた。二人はほっと息をついて、蘭にされるがままに抱き締められる。
蘭が博士に「どうしたのこの子達！」と問い詰めると、博士はこれまた下手な誤魔化しで遠い親戚の子と答えた。
蘭だから騙せたものの、正直Aはひやっとした。正体を知られてはいけないとつい今しがた決めた手前、バレるわけにはいかなかったのだ。
蘭は二人に興味津々のようで、きょどる二人を本棚の方へと突き詰める。
「あなた達、いくつ？」
『じゅう……じゃなかった、六歳！！』
「へぇ、小学校一年生かぁ。名前は？」
二人は名前を聞かれ咄嗟に視線を後ろの本へと送った。Aの目に飛び込んできたのは、コナン=ドイルの文字。適当に思いついた名前が、そのまま口から飛び出た。
『わ、私の名前は江戸川夏樹！』
「僕の名前は江戸川コナンだ！」
新一と名字が被ったことに言ってから気づく。目配せすると新一もまずいと思ったらしく顔をひきつらせていた。
「あれ、名字が同じ………あっ、もしかして二人って双子なの！？」
指摘されて顔を青ざめさせた二人だったが、蘭が突拍子もないことを言い出して瞬時に思考を変えた。もうこうなったらやけだ。
「二人とも眼鏡かけてるし…」
『そっ、そうだよ！私とコナンは双子なの！！』
Aは咄嗟に新一の腕を掴んであははと乾いた笑い声をあげた。新一が驚いているが、気にしている暇はない。
蘭は何の疑いもなく信じたらしく、そうなんだ！とAに可愛らしい笑顔を見せた。なんだか罪悪感に見回れた上、幼馴染の純粋さが少し心配になったAであった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 563人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mリン(プロフ) - 宵夜さん» こんにちは、コメントとご指摘ありがとうございます！修正が上手く行ってなかったようです。教えてくださりありがとうございました。また何かありましたらコメント宜しくお願いいたします！ (2022年3月20日 16時) (
レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
宵夜(プロフ) - とても面白くて良かったです！少し質問なんですが、ページ14の『(小さくなったあなたの仮名)』って目次ページで設定したものですか？変換されていないようでしたので一応報告と思い…不快であれば消して頂いても構いません。 (2022年3月11日 0時) (レス) @page14 id: 5d45bacd52 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - マナさん» 久しぶりにきたのでご返信が遅くなってしまい申し訳ありません。数年前の私が作成した拙い内容ですがそれでも宜しければどうぞ使ってやってください…！わざわざコメントありがとうございます！ (2022年2月20日 14時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 私なりに作品を参考させてもらっていいですか？ (2022年1月30日 8時) (レス) @page1 id: 25d45421cb (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます！映画沿いもありますので是非ご覧ください。 (2019年5月22日 7時) (レス) id: 148773b33b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mリン
| 作成日時：2017年4月21日 21時
