3話 ページ33
『がはっ……!』
苦しげな声をあげながら、Aは地面に叩きつけられた。傍らには、そんな彼女を上からじっと睨み付ける男が一人。
『ぐっ…』
Aは彼に蹴られた鳩尾を押さえ立ち上がろうと踏ん張ったが、身体に力が入らず地面へ崩れ落ちた。先程、新一と二人で盗み聞きをしていたら突如後ろから口元を押さえられ、抵抗も虚しく少し離れた場所まで連れてこられたのだ。
Aは男を睨み付けるが、目があった男はハッと笑うと未だ立てない彼女の髪を掴んで無理矢理持ちあげた。どうやら先程布越しに嗅がされた匂いは麻痺作用があるらしかった。
『っアンタ、一体…』
「探偵がむやみに首を突っ込んでいいもんじゃないぜ、櫻井A……。俺に捕まるなんて運の悪い女だ。
ここで死ね」
男は銀髪をふわりと靡かせると、黒いロングコートの懐から何かケースのような物を取り出した。そしてそれを開け、中から赤と白のカプセルを一つ取り出す。
「組織で開発したこれをお前に試す。精々苦しむんだな」
身体がいうことを聞かないAは男にされるがままだった。口の中に無理矢理カプセルを入れられ、水を続けて流されると、嫌でもカプセルが喉の奥を通った。抵抗したいのに、何も出来ない。
『ごほっ!ごぼ……』
男に乱暴に離された彼女は、地面にうつ伏せに倒れ込んだ。意識が朦朧とし、視界はぼやけていく。
「あばよ、名探偵」
男はそう言い残すと、踵を返していった。
(私、死ぬのか……)
朦朧とした意識の中、Aは自分の死を悟る。
ドクン、
『っは!!!??かはっ!!!』
しかし、意識が薄れていこうとしたその時、彼女の身体をとてつもない脈動と痛みが襲った。あまりの苦しさに、声を出すことすらままならない。
『ぐうっ……あ″ぁ!!!』
心臓を両手で掴み、過呼吸になりながら地面で苦しみもがく。無意識に芝生の草をブチブチと引き抜いていた。まるで全身が叫び声をあげているようだ。
(何これっ…身体が!熱いっ!)
麻痺作用を上回る恐ろしい痛みに襲われ、また遠のいていく意識の中Aは幼馴染二人のことを考える。
(新一は奴らに見つかってないかな……、きっと上手く逃げれるはず…………)
(嫌だ、ダメだよ、私…まだ、………二人に伝えたいことが……)
『…………ある、のに…』
彼女はそう言い残すと、ついに意識を失ってしまった…______
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mリン(プロフ) - 宵夜さん» こんにちは、コメントとご指摘ありがとうございます!修正が上手く行ってなかったようです。教えてくださりありがとうございました。また何かありましたらコメント宜しくお願いいたします! (2022年3月20日 16時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
宵夜(プロフ) - とても面白くて良かったです!少し質問なんですが、ページ14の『(小さくなったあなたの仮名)』って目次ページで設定したものですか?変換されていないようでしたので一応報告と思い…不快であれば消して頂いても構いません。 (2022年3月11日 0時) (レス) @page14 id: 5d45bacd52 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - マナさん» 久しぶりにきたのでご返信が遅くなってしまい申し訳ありません。数年前の私が作成した拙い内容ですがそれでも宜しければどうぞ使ってやってください…!わざわざコメントありがとうございます! (2022年2月20日 14時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 私なりに作品を参考させてもらっていいですか? (2022年1月30日 8時) (レス) @page1 id: 25d45421cb (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!映画沿いもありますので是非ご覧ください。 (2019年5月22日 7時) (レス) id: 148773b33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2017年4月21日 21時