4話 ページ34
次にAが目を覚ましたのは、それから二時間後のことだった。場所は意識を失った時と同じ草むらで、どこからかパトカーのサイレン音が聞こえてくる。彼女はゆっくり起き上がると、自分の手のひらを見つめた。
『あれ、私………死んでない……?』
命があることを不思議に思いながら、意識を失う前の記憶を辿る。
(確か、黒ずくめの男に変な薬を飲まされて……)
開発と言っていたから、まだ誰にも試したことがなかったのだろう。きっと完璧に仕上がった薬ではなかった。だからAには偶然、毒が効かなかった。
(運良すぎ…私)
はぁ、と安堵の息をついて、Aはゆっくり立ち上がる。すると突然、違和感を覚えた。
周りの建物や、奥に見えるアトラクションがやけに大きい気がするのだ。履いていた靴も随分踵が余っているし、何より着ていた服もダボダボになっている。
『な、何これ…………』
Aは不思議に思いながら一旦表に出ると、周りからの奇妙な視線を受けて更に困惑した。
(なんだ、この人達……やけに背が高い)
高校生である彼女もそこまで身長が低いほうではないのに、何故か周りを歩く人達が自分よりもずっと大きい。Aはふと、近くにあったミラーハウスに視線を送った。そして自分の姿を見て目を見開いた。
『…体が!小さくなってる!?』
(そ、そんな…そんなことってあり得るの!?)
ぐるぐると混乱する頭で必死に考えを巡らせた。迷子か何かかな、と心配そうにAを見る目もあった。それはそうだろう。こんな幼い少女が、遊園地で一人、何をしているというのだ。
Aがどうすればいいかわからなくなっていると、ふとポケットのスマホが振動した。見ると、それは蘭からの着信だった。
『らんっ』
(助かったぁ!蘭にここまで迎えに………
いや、こんな姿でどうやって……しかも声だって変わってるし………)
新一に連絡することも考えたが、二人に迷惑がかかってしまう。大体連絡が取れたとして、彼らに何て言うのだ。Aは暫く自分の連絡先を漁り、じっと考え込んだ。
そしてある名前を見つけると、決心したように呟き、顔を上げた。
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mリン(プロフ) - 宵夜さん» こんにちは、コメントとご指摘ありがとうございます!修正が上手く行ってなかったようです。教えてくださりありがとうございました。また何かありましたらコメント宜しくお願いいたします! (2022年3月20日 16時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
宵夜(プロフ) - とても面白くて良かったです!少し質問なんですが、ページ14の『(小さくなったあなたの仮名)』って目次ページで設定したものですか?変換されていないようでしたので一応報告と思い…不快であれば消して頂いても構いません。 (2022年3月11日 0時) (レス) @page14 id: 5d45bacd52 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - マナさん» 久しぶりにきたのでご返信が遅くなってしまい申し訳ありません。数年前の私が作成した拙い内容ですがそれでも宜しければどうぞ使ってやってください…!わざわざコメントありがとうございます! (2022年2月20日 14時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 私なりに作品を参考させてもらっていいですか? (2022年1月30日 8時) (レス) @page1 id: 25d45421cb (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!映画沿いもありますので是非ご覧ください。 (2019年5月22日 7時) (レス) id: 148773b33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2017年4月21日 21時