検索窓
今日:99 hit、昨日:91 hit、合計:338,546 hit

8話 ページ30

言い逃れできない証拠を指摘され、ひとみは下を向いてついに黙りこんだ。礼子が血の気の引いた顔で彼女を見る。


「ひとみ……あんたまさか…」


現場にいる全員が黙って彼女を見つめた。




「___みんなあの人が悪いのよ……………」




暫く黙っていたひとみがゆっくりと口を開く。


「あの人が……あたしを捨てたりするから!!!!」


彼女はドサリと地面に座り込み、涙を抑えるために両手で顔を覆った。ひとみの言葉を聞いて礼子は驚きながら聞き返す。


「捨てるって…ひとみあんた岸田くんと付き合ってたの!?」

「そうよ!!」


ひとみは顔を勢いよく上げ、吐き捨てるように礼子に言い返した。


「あなたたちと大学で出会うずっと前から、あたし達は愛し合っていたのよ!

それを愛子に…………………こんな女にっ!!!!!!」


ひとみは感情が高ぶり、持っていたバッグを千葉の横にいる愛子に投げつけた。愛子は短い悲鳴を上げたが、千葉が咄嗟に庇ったため彼女にバッグが当たることはなかった。


新一はひとみを悲しそうな目で見つめるAに一度視線をやると、何かを考えた表情になった。


「……っ、だから……」


大粒の涙がひとみの目からこぼれ落ちる。


「だから……あの人と最初にデートしたジェットコースターで……、あの人が最初にくれた真珠のネックレスで……、愛子に罪を被せて……!」





「殺してやりたかったのよ!!!!!!!」



ひとみはその場に泣き崩れた。それを礼子がそっと覆う。蘭は涙を流し、目暮達も瞼を伏せて黙りこんでいた。






===

ひとみが連行された後、鑑識が調べたところやはりネックレスが凶器に使われていた。真珠は飛び散り、残っていた血濡れのものだけが夕日の光を浴びて酷く美しく輝いていた。


また、ひとみのバッグからは大量の睡眠薬が見つかった。犯行の後、被害者のあとを追って自 殺するつもりだったらしい。






こうして二人の探偵により、トロピカルランドでの悲劇は幕を降ろしたのだった……___

もう二度と、会えないの…1話→←7話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (171 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
564人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

mリン(プロフ) - 宵夜さん» こんにちは、コメントとご指摘ありがとうございます!修正が上手く行ってなかったようです。教えてくださりありがとうございました。また何かありましたらコメント宜しくお願いいたします! (2022年3月20日 16時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
宵夜(プロフ) - とても面白くて良かったです!少し質問なんですが、ページ14の『(小さくなったあなたの仮名)』って目次ページで設定したものですか?変換されていないようでしたので一応報告と思い…不快であれば消して頂いても構いません。 (2022年3月11日 0時) (レス) @page14 id: 5d45bacd52 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - マナさん» 久しぶりにきたのでご返信が遅くなってしまい申し訳ありません。数年前の私が作成した拙い内容ですがそれでも宜しければどうぞ使ってやってください…!わざわざコメントありがとうございます! (2022年2月20日 14時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 私なりに作品を参考させてもらっていいですか? (2022年1月30日 8時) (レス) @page1 id: 25d45421cb (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!映画沿いもありますので是非ご覧ください。 (2019年5月22日 7時) (レス) id: 148773b33b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:mリン | 作成日時:2017年4月21日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。