4話 ページ13
「それがね新一、A今日三年の先輩に告白されたんだって!!」
『ちょ、蘭!』
「なにぃ?!」
Aの代わりに蘭がわざとらしく言うと、新一は顔を青くして話題にくいついた。蘭はそんな彼の様子に内心笑いを堪える。
「誰だ?何て名前の奴だ!?」
『わっ、』
見ず知らずの男に先を越されたのが癪に触ったのか、新一は必死な様子で、足を止めAの肩を掴んだ。Aはわけがわからずあたふたしながらも、新一に気圧され一瞬躊躇ったあとポツリポツリと話し始める。
『サッカー部の、杉本って先輩…。推理小説とかミステリーとか好きらしくて…、一目惚れした、って………』
「杉本……?…………ぁあーーあの人か!!」
サッカー繋がりで、部活には所属してないものの顔見知りなのか、新一は頭を抱えた。前にAのことを聞かれたのを思い出したのだ。しかしまさかそんな気を寄せているとは思いもしなかった。
Aは「知ってるの?」と驚きながら、赤い顔を両手で覆う。
Aが告白されたという事実に、新一は大層不機嫌になっていた。好きな女が告白されて嬉しい男などいないだろう。たとえ、幼馴染であったとしてもだ。蘭も最初は新一の反応を面白がっていたが、彼がAに返事はどうするのかを聞くと、彼女も気になっていたのか同じように詰め寄った。
『へ、返事もなにも……断るよ。私今そういうの興味ないし』
ズドンと、確かに二人に何か鉛のような重い物がのしかかった音がした。『断る』と聞いて喜んだのもつかの間、『興味ない』という言葉が二人にダメージを与えたのだ。興味がない、それ即ち好きな人はいないということ。つまり新一も蘭も脈なしというわけだ。
「あ、はは…そうなんだ」
「ケッ…」
新一と蘭は喜べばいいのか落ち込めばいいのか分からず、曖昧な笑みを浮かべた。まあどこぞの馬の骨かも分からない奴に取られるよりは、まだフリーな彼女のほうがマシというもの。二人は顔を見合わせ、苦笑いを浮かべた。
一方Aは、そんな彼らの様子に気づくはずもなく、新一と同様に今日下駄箱に入っていた何通かのファンレターを取り出した。その枚数が若干新一の数を上回っていて、二人はぎょっと目を見開く。
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mリン(プロフ) - 宵夜さん» こんにちは、コメントとご指摘ありがとうございます!修正が上手く行ってなかったようです。教えてくださりありがとうございました。また何かありましたらコメント宜しくお願いいたします! (2022年3月20日 16時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
宵夜(プロフ) - とても面白くて良かったです!少し質問なんですが、ページ14の『(小さくなったあなたの仮名)』って目次ページで設定したものですか?変換されていないようでしたので一応報告と思い…不快であれば消して頂いても構いません。 (2022年3月11日 0時) (レス) @page14 id: 5d45bacd52 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - マナさん» 久しぶりにきたのでご返信が遅くなってしまい申し訳ありません。数年前の私が作成した拙い内容ですがそれでも宜しければどうぞ使ってやってください…!わざわざコメントありがとうございます! (2022年2月20日 14時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 私なりに作品を参考させてもらっていいですか? (2022年1月30日 8時) (レス) @page1 id: 25d45421cb (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!映画沿いもありますので是非ご覧ください。 (2019年5月22日 7時) (レス) id: 148773b33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2017年4月21日 21時