2話 ページ11
「ねぇ聞いた?あの高校生探偵たち、またお手柄だってね!」
「すごいよねー!」
夕暮れ時、書店で雑誌を立ち読みしていた女子高生が、黄色い声をあげながら会話を弾ませていた。そのすぐ後ろを、帝丹高校の制服を着た二人が通る。
一人はその会話の内容を聞いて完全に天狗状態、口角を気持ち悪い程にあげニマニマとだらしない顔を浮かべている。しかし片やもう一人はそんな彼を見て心底呆れていた。
帰路の途中にある電器量販店に並べられたテレビから、高校生探偵たちがまたもや難事件を解決したことに対する賞賛の声が響く。
「ふふ、フッフッフッフ…………!」
それを聞きながら、ドヤ顔でAの横を歩く新一は、あっはっはと高らかに笑った。自分とAの活躍がメディアにまた取り上げられたのが嬉しくて堪らない様子だ。隣を歩いていたAは、そんな彼を迷惑そうに見る。
止めようと新一を鞄で殴ろうとした彼女だったが、後ろから無言でツカツカと近づいてくるもう一人の幼馴染の姿を見て、その手を下ろした。
ドカッ
「って!!何すんだよ蘭!!」
「バッカみたい!ちょっと有名になったからって浮かれちゃって」
部活帰りの蘭は、空手の胴着を新一の後頭部に叩きつけ、新一とAの間に立ちはだかった。新一はAとの帰宅を邪魔されたことによって、一気に上機嫌から不機嫌へと変わる。
『蘭、なんか怒ってる…?』
いつもと様子の違う蘭に、Aは嫌な予感がしながらも声をかけた。蘭は彼女の方を向くと、にっこり笑って言う。
「べっつにー?Aと新一が活躍するとお父さんの仕事が減っちゃうなんて全然思ってないわよ?」
『なるほど…、思ってんのね』
蘭の明らかに私情を隠しきれてない理屈に、Aは申し訳なく思いながら、苦笑いを浮かべた。それを見て、新一がバカにしたように言い返す。
「蘭の父さんが仕事ねーのは俺らのせいじゃねーよ」
『ちょっと新一、』
蘭の父…__小五郎に探偵の依頼が来ないのは、小五郎の推理が駄目だからと、新一は鼻で笑う。Aが止めようとしたが、時既に遅し。新一は蘭に追い討ちをかけるように、「俺らに八つ当たりすんなよな、」と笑って歩き始める。
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mリン(プロフ) - 宵夜さん» こんにちは、コメントとご指摘ありがとうございます!修正が上手く行ってなかったようです。教えてくださりありがとうございました。また何かありましたらコメント宜しくお願いいたします! (2022年3月20日 16時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
宵夜(プロフ) - とても面白くて良かったです!少し質問なんですが、ページ14の『(小さくなったあなたの仮名)』って目次ページで設定したものですか?変換されていないようでしたので一応報告と思い…不快であれば消して頂いても構いません。 (2022年3月11日 0時) (レス) @page14 id: 5d45bacd52 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - マナさん» 久しぶりにきたのでご返信が遅くなってしまい申し訳ありません。数年前の私が作成した拙い内容ですがそれでも宜しければどうぞ使ってやってください…!わざわざコメントありがとうございます! (2022年2月20日 14時) (レス) id: 535fdf8baa (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 私なりに作品を参考させてもらっていいですか? (2022年1月30日 8時) (レス) @page1 id: 25d45421cb (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!映画沿いもありますので是非ご覧ください。 (2019年5月22日 7時) (レス) id: 148773b33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2017年4月21日 21時