21話 ページ22
(さてと…『海賊は泣かない』だったな…)
海を背にして右側を見ると、月明かりを反射していない砂浜が目に止まる。石英の量が少ないのだろう。コナンがそこまで走って足踏みをすると、砂は先程のように音はたてなかった。
「来いよ!こっちは鳴かないぜ!」
「そっちが『海賊は泣かない』なんですね!」
すぐ近くに古びた小さな船が置いてあり、いかにもヒントカードが置いてありそうな風貌に、コナンは苦笑いを浮かべるのだった。
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船の中でヒントカードを見つけ無事スタンプを押した後、一同は元来た道を戻っていた。次のヒントは『海賊の魂は天に昇る』だ。また訳が分からないとぼやく元太の声を聞きながら、夏樹はコナンからヒントカードを受け取り見せて貰った。前回も今回も、島の観光客のためのゲームとは思えないクオリティに舌を巻く。夏樹は手の中のヒントカードと宝探しマップをまじまじと見つめながら哀に話しかけた。
『それにしても、よく考えるよねあの観光課長』
「え?」
『観光課長の岩永さん!彼が自分で考えたって言ってたでしょ?この暗号』
「あぁ…。だってそれが仕事なんでしょ?彼の」
『ハハ…、感動のない奴』
あっけらかんと返す哀に、夏樹は思わず呆れ目になる。確かにそう言われたらそこまでなのたが…。自分の考えすぎだろうか。
夏樹が考え込んでいると、ふと隣にいたコナンが何かに気づいて足を止めた。どうしたの?と声をかける暇もなくコナンは前に走っていくと子供たちを追い抜いて近くの岩壁を登っていく。そのまま彼は犯人追跡メガネを使い何かを見つけると、ニヤリと挑戦的に笑った。
その表情にどこか見覚えのある夏樹は、慌てて彼の近くに寄る。困惑する子供たちを他所にコナンは地面へ降りると、パッと夏樹の手を取った。
「悪いけど、僕と夏樹寄るとこが出来たから、先に帰ってて!」
『え!?』
「あっ、ちょっと!コナン君!」
私も!?と動揺する夏樹に有無を言わさず、コナンは皆の制止も無視して彼女と共に去っていった。
「またかよ…」
「ったく、団体行動の出来ないガキ共ね…」
「コナン君…夏樹ちゃん…」
いつものことだが事件が起きると周りが見えなくなる探偵に、残された哀はそっとため息をつくのだった。
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『ちょっと新一、どういうことか説明してよ』
コナンに手を引かれ半ば無理矢理同行させられた夏樹は、走りながら少々不服そうにコナンを見た。
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紅茶 - もう最高すぎです!新一の絡みの作品はとても少ないので、とてもドキドキして愛読させてもらっています!更新を楽しみにしています! (2月22日 13時) (レス) id: dd90f074e1 (このIDを非表示/違反報告)
Happy(プロフ) - 毎回ワクワクドキドキしながら見てます!更新を楽しみにしてます! (8月1日 17時) (レス) id: 9dbed7814d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - コナン君と彼女ちゃんラブラブだね、続きが楽しみです😁 (5月13日 19時) (レス) @page25 id: 0a46edb41a (このIDを非表示/違反報告)
RINO(プロフ) - いつも見てますリクエスト募集してますか?してたら緋色の弾丸お願いしますできればですけど (2023年4月24日 10時) (レス) id: be789abdc0 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - あーむさん» わあ!ありがとうございます…!本日少し更新しましたので楽しんでいただけると幸いです〜 (2023年4月16日 3時) (レス) id: af6ae32b27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2023年4月3日 2時