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28話 ページ29

ふんわりと笑いながらクイッと飲みのジェスチャーをする降谷に、Aは思わず押し黙る。



ちょうど彼女も疲れを紛らわすために酒を飲もうかと考えていたところだったのだ。



良い店、につい釣られてしまう。



駐車場を囲っている垣根越しに会話する二人を、道行く人が不思議そうに眺めているのに気づいたAは、心の中で悪態をつきながら渋々了承した。




====


降谷のいない車内でぼーっと待ちながら、彼のことを考える。



あの仮眠室での一件以来、降谷の態度が妙におかしいのだ。



あまり会うことがないが、会ったら会ったで絶対話しかけてくる。



内容は最近どうだとか、趣味とか、他愛もない話ばかりだったが、Aはつい絆されそうになっていた。



確実に、降谷と話せて嬉しいと思っている自分がいる。



それを信じたくないAは慌てて首を横にふった。



降谷は先程の書類を出してくるといい、Aを自分の車の助手席に半ば無理矢理押し込んで、警察庁へ入っていってしまった。



降谷の匂いがする落ち着かない車内で、大きなため息をつく。



苦手だ。



彼を見るとわけがわからない感情が渦巻く。



なんというか、疲れるのだ。



「悪い、待たせたな」



Aがぼけっとしていると、仕事を終えた降谷が車に乗り込んできた。



まぁ何の仕事をしてるのかは知らないのだが。



聞いたらダメなような、嫌な予感がしてAはそれ以上踏み込むのをやめている。



「それじゃあ行くか」

『すみません、乗せてもらっちゃって…』

「構わない、誘ったのは僕だからな」



なんだか気が引けるAに降谷は小さく笑うと、車を発進させた。






===


無音の車内に耐えられず、Aは助手席から夜の街の景色を眺めていた。



そんな彼女を横目に降谷が話題を切り出す。



「…君は捜査一課に移動になったんだったよな」

『?はい、前は二課にいたんですけど急に』

「二課ではどんなことを?」



何だこの質問。



あんた絶対知ってるだろ、風見さんが敬語使う程の立場なんだから。



Aは怪訝そうな表情を隠そうともせず降谷を見た。



話題の切り出し方下手か。



そう思ったのを飲み込んで素直に返す。



『うーん…まぁやっぱり主にアイツのことですかね』

「…アイツ?」

『キッドですよ、月下の奇術師"怪盗キッド"!』

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W.m(プロフ) - このお話の虜になってしまいました!是非続きをお願いします! (2022年7月22日 1時) (レス) @page38 id: cc284c2617 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - びっくりするくらい面白いし続き気になります!!ぜひ更新して欲しいです!! (2022年5月21日 18時) (レス) id: 4f6136cbf2 (このIDを非表示/違反報告)
紅月 - 初コメ失礼します!とっても面白いです。探り合いの雰囲気とか格好いいですし、降谷さんがバーボン飲んでもらって赤ちゃん化するの笑いましたw可愛い! (2020年7月19日 13時) (レス) id: be796dbe9a (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 雅2さん» 大丈夫ですちゃんとわかってますので!笑笑 この後の話に繋げてるのでご心配なさらず…!変なところで終わってしまったからですよねすみません…!コメントありがとうございました!! (2020年6月8日 2時) (レス) id: 8a2861dc31 (このIDを非表示/違反報告)
雅2(プロフ) - スピリタスって度数96の純正アルコールですよね?そのまま飲んだりすると大火傷を主人公が負ってしまうのでちゃんと水か何かで薄めて他のアルコールの果実酒として飲むようにしてくださいね笑 (2020年6月7日 22時) (レス) id: 57165b9e01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mリン | 作成日時:2019年6月22日 17時

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