23話 ページ24
明らかに、工藤新一が生きているのを証明するような口調。
生きている。
そうか。
工藤新一は生きている。
あのリストにボロがあったとは。
それもAが先日そのリストを受け取らず、今日ここに来なければ彼女が真実を知ることなんてなかった。
あのときこう動いたから。
あのときあの選択をしたから。
ビリビリと感覚神経がひっきりなしに電気信号を送っているのがわかる気がする。
あぁ!
これだから人生は面白いのだ!
『まぁ、とりあえずコナン君に渡したいものがあるからそっちに行ってみるね。ありがとう蘭さん』
Aは興奮を抑えつつ、なんでもない顔で立ち上がるとケーキを差し出した。
毛利さんと食べてと言い、かわりに博士の家までの地図をもらう。
「あっ、コナン君へ渡すもの、私が預かっときましょうか?」
蘭はケーキを嬉しそうに受けとると、彼女にそう提案してきた。
だがAはにこりと笑って首を横に振る。
『大丈夫、ありがとう。でも"これ"はコナン君に直接渡さないと意味ないから…』
彼女がそう言えば蘭は素直に承諾し、階段の下まで見送りに出てくれた。
いい子だな、蘭さんは。
『じゃあ、ありがとう蘭さん!』
Aはもう一度向日葵のような笑顔を見せると、毛利探偵事務所をあとにした。
彼女が向かうのは、あのクソガキのところだ。
=====
先程蘭にケーキを渡してしまったので新しく今度はタルトを買ったAは、阿笠博士の家の近くまで来ていた。
子供達もいるということだったので、タルトは多めに買ってある。
角を曲がり進むと、すぐに豪邸のような家が二軒見えてきた。
手前の家の表札を見れば、確かに「工藤」と刻まれている。
『…組織の奴等は、これを知ってんのかねぇ』
Aが門扉の前に立ちながらそう呟いていると、ふと工藤邸のほうから視線を感じた。
勢いよく顔をあげてすぐに確認するが、家から人の気配はない。
気のせいだったかな?と頭をひねりながら、Aは自分がここにきた用件を思い出して阿笠邸のほうへ向かった。
___そんな彼女を、工藤邸の二階の窓からじっと見つめる影が一つ。
「………濱口A、か」
片目を開け、阿笠邸に迎え入れられているその姿をしっかり覚える。
にこにこ笑っていて、とても裏の顔があるようには見えない。
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W.m(プロフ) - このお話の虜になってしまいました!是非続きをお願いします! (2022年7月22日 1時) (レス) @page38 id: cc284c2617 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - びっくりするくらい面白いし続き気になります!!ぜひ更新して欲しいです!! (2022年5月21日 18時) (レス) id: 4f6136cbf2 (このIDを非表示/違反報告)
紅月 - 初コメ失礼します!とっても面白いです。探り合いの雰囲気とか格好いいですし、降谷さんがバーボン飲んでもらって赤ちゃん化するの笑いましたw可愛い! (2020年7月19日 13時) (レス) id: be796dbe9a (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 雅2さん» 大丈夫ですちゃんとわかってますので!笑笑 この後の話に繋げてるのでご心配なさらず…!変なところで終わってしまったからですよねすみません…!コメントありがとうございました!! (2020年6月8日 2時) (レス) id: 8a2861dc31 (このIDを非表示/違反報告)
雅2(プロフ) - スピリタスって度数96の純正アルコールですよね?そのまま飲んだりすると大火傷を主人公が負ってしまうのでちゃんと水か何かで薄めて他のアルコールの果実酒として飲むようにしてくださいね笑 (2020年6月7日 22時) (レス) id: 57165b9e01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mリン | 作成日時:2019年6月22日 17時