2話 ページ3
『かーざーみさんっ』
場所は警視庁。天気は快晴。
「…濱口か」
Aは見覚えのある後ろ姿を見つけると、嬉しそうに声をかけた。
名前を呼ばれて振り返った風見の手には、重そうな書類が山積みになっている。
『どうもです、半分持ちますよ』
軽く挨拶をし、風見に有無を言わす間もなく書類を半分ほど奪ったAは、何事もなかったように彼の横へ並んだ。
「おい、これぐらい一人で持てる」
風見が眉を潜めて言うが、Aは笑って言うことをきかない。
『二人で運んだ方が速いですよ。あ、じゃあ後でコーヒー奢ってください』
「お前……その図々しさも相変わらずだな…」
んふふ、と楽しそうに笑うAにはぁ、と小さくため息をつき諦めた風見は、大人しく手伝って貰うことにした。
風見とAは交番勤務の時に知り合った先輩後輩関係だ。
公安部に配属された風見と、刑事部の捜査二課に配属されたAは刑事になってからというものあまり関わりがなかった。
しかし、Aが捜査一課に異動してからは、たまにこうして会うことも増えたのだ。
あまり良い仲とは言えない公安部と刑事部だが、この二人だけは例外として今もつるんでいた。
Aの"利益のためだけに動く"というその精神は昔から変わらないもので、流石に慣れたようだ。
(コーヒーを頼む辺り、ちゃっかりしている……)
風見はもう一度ため息をついた。
===
Aと談笑しながら公安部の方まで行くと、風見が今一番この状況を見られたくない人物が彼を待っていた。
「おい、遅いぞかざ………み、」
「すっ、すみません降谷さん…！」
不機嫌な声で彼を呼んだその人物は、腕を組みドアの前に立っていた。
あわわ…と冷や汗をかいて慌てる風見を横目で見ていたAは、持っていた書類の束を持ち直しその人物をを見る。
ふと二人の視線が重なり、驚いた彼はゆっくりと口を開いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 580人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
W.m(プロフ) - このお話の虜になってしまいました！是非続きをお願いします！ (2022年7月22日 1時) (
レス) @page38 id: cc284c2617 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - びっくりするくらい面白いし続き気になります!!ぜひ更新して欲しいです!! (2022年5月21日 18時) (レス) id: 4f6136cbf2 (このIDを非表示/違反報告)
紅月 - 初コメ失礼します！とっても面白いです。探り合いの雰囲気とか格好いいですし、降谷さんがバーボン飲んでもらって赤ちゃん化するの笑いましたw可愛い! (2020年7月19日 13時) (レス) id: be796dbe9a (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 雅２さん» 大丈夫ですちゃんとわかってますので！笑笑 この後の話に繋げてるのでご心配なさらず…！変なところで終わってしまったからですよねすみません…！コメントありがとうございました！！ (2020年6月8日 2時) (レス) id: 8a2861dc31 (このIDを非表示/違反報告)
雅２(プロフ) - スピリタスって度数96の純正アルコールですよね？そのまま飲んだりすると大火傷を主人公が負ってしまうのでちゃんと水か何かで薄めて他のアルコールの果実酒として飲むようにしてくださいね笑 (2020年6月7日 22時) (レス) id: 57165b9e01 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mリン
| 作成日時：2019年6月22日 17時
