15話 ページ16
『バーボン?』
疑問に思って繰り返すと、あぁ、と納得したような声が聞こえた。
「そういえばスピリタスは見たことなかったわね。貴方と同じ日本人よ」
へえ……と思わず声がもれた。
あら、興味沸いた?と若干楽しそうなベルモットに、別に!と慌てて返す。
バレているのか、クスクスと笑われた。
ベルモットと関われるだけの幹部だ、相当腕がたつのだろう。
そんな人間がまだ組織にいたとは。
実際興味がないというのは嘘で、一度お目にかかりたいものだ。
Aがそうこう考えてるうちに、目的地へと到着していた。
場所はどこかのビジネスホテル。
ハーレーが近くの路地で止まった。
じゃあ終わらせてくるから、貴方はここで待ってなさい、とベルモットはヘルメットをAに預けた。
片手に洋服が入った袋を持っていたので、恐らくトイレで変装するのだろう。
ベルモットがホテルに入ったのを確認して、Aはふぅ…と息をつく。
人目につかないようにするためこうして深夜に行動しているが、なにぶん今日も彼女は通常通り出勤しなければならない。
帰って寝る時間は極僅かだろう。
彼女はもう一度深いため息をつくと、おとなしくベルモットの帰りを待った。
===
同日、朝。
ふぁあああ、とだらしなく大きな口を開けてAは警視庁へ足を踏み入れた。
彼女の目の下には隈ができている。
あの後結局、ベルモットと別れ帰宅してから二時間ほどしか睡眠時間が確保出来なかったのだ。
捜査一課に到着すると、すぐに高木と佐藤が話しかけた。
「うわっ、どうした?顔色悪いぞ……」
『…ども、はよざます』
「あらほんと!Aひどい顔よ!?」
『そですかぁ?』
ハハハ、とから笑いをしてデスクにつくAの姿を、心配そうに二人が見る。
(眠い………やばいな仕事になるかな…)
当の本人も、心の中で苦笑いを浮かべた。
周りの捜査員も何かとAの様子をちらちらと気にしている。
容姿端麗で仕事もできる彼女は、捜査二課から異動してきたこともあり一目置かれていた。
いつも自由気ままでマイペースなAが、ひどく疲労困憊している姿は珍しい。
何人か声をかける者もいたが、本人が大丈夫だと笑うのでそれ以上の詮索は誰もしなかった。
580人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
W.m(プロフ) - このお話の虜になってしまいました!是非続きをお願いします! (2022年7月22日 1時) (レス) @page38 id: cc284c2617 (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - びっくりするくらい面白いし続き気になります!!ぜひ更新して欲しいです!! (2022年5月21日 18時) (レス) id: 4f6136cbf2 (このIDを非表示/違反報告)
紅月 - 初コメ失礼します!とっても面白いです。探り合いの雰囲気とか格好いいですし、降谷さんがバーボン飲んでもらって赤ちゃん化するの笑いましたw可愛い! (2020年7月19日 13時) (レス) id: be796dbe9a (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 雅2さん» 大丈夫ですちゃんとわかってますので!笑笑 この後の話に繋げてるのでご心配なさらず…!変なところで終わってしまったからですよねすみません…!コメントありがとうございました!! (2020年6月8日 2時) (レス) id: 8a2861dc31 (このIDを非表示/違反報告)
雅2(プロフ) - スピリタスって度数96の純正アルコールですよね?そのまま飲んだりすると大火傷を主人公が負ってしまうのでちゃんと水か何かで薄めて他のアルコールの果実酒として飲むようにしてくださいね笑 (2020年6月7日 22時) (レス) id: 57165b9e01 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mリン | 作成日時:2019年6月22日 17時