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side 侑
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よう聞いとったら、南さんは泣いてた。
何でかはわからん。
「なあA。知ってるか」
小さく北さんの声が聞こえてきて、背筋が伸びた。
「ハグはストレスの3分の1を解消してくれるんやで」
ドッと殴られたように心臓が脈打った。
いや知らん。知らんやろ。
てか、え、北さんてそんなこと言うん?
びっくりするやん、ほんまに、死ぬかと思うやん。
「せやからなぁ、しんどなったら俺がこうしたるわ」
俺はもう鼻血出てるんちゃうかと思った。
この後どんな顔して北さんに接すればええ?
南さんもや。
「……ありがとぉ」
なんっなん、あの人、あんな可愛ええ喋れたん?
俺もうどんだけ怒鳴られても蹴られても何されても怯まへんで。
「落ち着いたか」
「ん。もうどもない」
2人の声が聞こえてきて、立ち上がるような音がする。
やばっ、と俺はアランくんの元へ走った。
「何やねん侑、せわしないな」
「い、いや、おん、ごめん」
「素直やん、気持ち悪」
俺は今何を言われても応えへん。
無敵や。某ゲームでスター食ってもたみたいな感じや。
「明日は飴ちゃんでも降ってくるんか」
不意に北さんの声がして、言葉通り俺は飛び上がった。
「きっ、きき、北さん」
「びっくりしすぎやろ。まだ片付け終わってへんで」
そう言われていつのまにか南さんがモップをかけている事に気がついた。
いやぁ、今俺に行かせます??
絶対行けへん。
「おいサム。南さんモップかけてはるやろ。代わってこいや」
「は?お前が行けばええやろ」
俺もそう思う。
「ええから行けや!帰り肉まん買うたるやろ」
「言うたでな」
ありがとうサム〜〜〜〜。
チョロくて助かった。切実に。
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「ぶっ」
「汚いな侑!」
無事あの場をやり過ごして、部室で着替えてる時、隣で着替えているアランくんが
「今アイツらおらんから言うけどさ、何か今日、南と北の距離感バグってない?」
と呟いて冒頭に至る。
「そうか?いつもあんなもんちゃう」
「俺もあんま何も思わんかったけど」
「侑どう思う?」
え待って赤木さん、大耳さん、何で俺に絡むんや。
俺には心当たりしか無いですよ。
「お、俺もそう思います〜」
アランくんは「ほなそうかあ」と呑気に納得していた。
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なず@ヴィル様の旦那です(プロフ) - うびゃぁ…………今まで読んできた中で一番好きです… (2021年4月10日 16時) (レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
依(プロフ) - ちびさん» そう言ってもらえると嬉しいです^^お読みいただきコメントまで、本当にありがとうございます! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ感動しました!!最高です( ; ; ) (2020年6月2日 20時) (レス) id: c0c643d2d0 (このIDを非表示/違反報告)
Rikka(プロフ) - りるとさん» そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます^^ (2020年4月17日 8時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
りると - めちゃくちゃいい話でした!! (2020年4月15日 0時) (レス) id: 615da3bcde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rikka | 作成日時:2020年3月18日 10時