# ページ5
今まで1度も、20歳まで生きていたことなんてなかったから。
未来の俺からって言うことは、未来の俺が未来のタケミっちに渡して…いや、渡してないかもしれないけど。
未来のタケミっちが手紙を見つけて、今の俺のところに来たとしか考えられない。
「そうです、オレはタイムリープしてます。…手紙はA君が飛び降り自 殺をする前に、マイキー君に宛てられたものでした。…内容は…色々。A君がマイキー君に言いたいこととか、辛かったこととか、先に逝くことへの謝罪とか、です。」
俺が、マイキーに言いたいことってなんだろう。
…きっと諦められない想いも書いたはずだ。
じゃあそれを、タケミっちは知ってるんだ。隠してきたことを、隠したいことを。
弱音も吐いたはずだ。だって俺、そんなに強くないから。
飛び降りしたんだ、俺。何回目の飛び降りだろう。
五回目？八回目？十回目？
わかんない。もう辞めたい。でも、助けたい。
俺、逃げてばっかりじゃないか。
雫が、瞬きとともに弾き出された。嗚咽が漏れて、酷い嫌悪感に包まれて、その場にしゃがむ。
『ケンちゃんはっ、助けるよ…ぜったい、ぜったい、助ける。…だけどさぁ、タケミっち、知ってる…？』
「何をですか？」
『俺のループ、ケンちゃん助けるだけじゃ終わんねぇの。』
タケミっちの目が見開かれた。
助けたよ、何回も。俺がケンちゃんの代わりに死んだことも何度だってあった。でも、ケンちゃんがそのまま笑ってても、俺が死んでも、ループは終わんない。
死んだらもう一度、繰り返される。
いつだって間に合わなくて、目の前で死なれるのが怖くて。
俺が最善だと思ってやった事は、全然上手くいかない。
諦めたくないよ、なんにも。
死なせたくないよ、誰も。
でも俺が動いたって、なんにも変わらないんだったら、俺は。いない方がいいんじゃないかって何度も何度も思うんだ。
「おいタケミっち、マイキーがA呼んでっから……A？何泣いてんだよ…？」
『…ケンちゃん…』
俺の前に立ってる、タケミっち。
しゃがみこんで泣いてる俺。
「タケミっち、お前Aになんつった…！？何した…！？」
止める暇もないままケンちゃんはタケミっちの胸ぐらを掴んでしまった。
「こいつは、Aは滅多に泣かねぇ。特に俺らの前ではな。…もう一度聞くぞ、なんでAが泣いてんだ？」
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なんばん - すごく面白いです！ドストライクです！書いてくれてありがとうございます！これからも頑張ってください！ (2021年6月2日 1時) (
レス) id: 0eb447a2e9 (このIDを非表示/違反報告)
Kira(プロフ) - いつも読ませていただいてます。面白くて大好きです。これからも頑張ってください!! (2021年5月31日 17時) (レス) id: 5ee4acc04b (このIDを非表示/違反報告)
るい - とっても面白いです！！ (2021年5月29日 1時) (レス) id: b95688f803 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だしまきたまご | 作成日時：2021年5月18日 2時
