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トントンはポカン、とした。Aの撫でる手はまだ動いている。彼女は労わる様にと聞き、考えて浮かんだのがコレだった。2人が此処に来て検査を受けた頃にしんぺい神から撫でてもらった事が心地良かった事を思い出し、それを実行していた。加えて、言葉もかける。
「トントン頑張ってんだなぁ、お疲れ様」
「……」
「ん、撫でられんの嫌だったか?」
「……その、嫌やない、けども」
「なら良かった」
屈託の無い笑みを浮かべてそう言えば、彼の顔がみるみると赤くなっていく。撫でられ慣れていない事と、好いていると思っている片方にされたからか自然とそうなってしまっている。
「わぁ、どしたその顔。暑いのか?」
「は、恥ずかしいねん……っ」
「何で?」
「その、う……。何でもないわ……」
「んはは、変なの」
思いを伝えるのが苦手で、それ以前に好意があるからとは言えず、ただ撫でられるままになっていた。彼の思いに気づかない、寧ろその思いをまだ経験をした事の無いAは面白そうに撫でていて。彼女に翻弄されているトントンの普段見せないだろう姿にオスマンは満足そうだった。……それと同時に、少し羨ましくもあったが。
「申し訳ありません、遅く――。…………ええ、と。どんな状況なのかしらコレって」
「オプロイテさん。その、姉さんがトントンさんを労ってました」
「どうして???」
撫でられているトントンと彼を撫でているA。そんな光景が目に入ったオプロイテの第一声がそうなるのは仕方がなかった。チラと直属の上司であるオスマンの様子を見れば彼が促したのだろうとそれなりに部下として近くで見ていた彼女は察し、呆れながら「もう」と言いながらも買い足した菓子を準備していればナグモも手伝い始める。
「すぐ終わるから、座ってて大丈夫よ?」
「2人の方が早く終わりますよ。オプロイテさんとも一緒に早くお茶会したいですし」
「ふふ、じゃあお言葉に甘えて。ナグモ、ありがとう」
その通りで、すぐに準備が終わり彼女も早く席に着く事が出来た。席に座り直したナグモの頭をAが撫でる。
「ナグモ、偉いっ」
「撫でなくても良いのにぃ……」
「ところでいつまで俺も撫でてるんや……」
Aの両隣、ナグモとトントンが揃って赤くなっている為「おもろい光景やなぁ」とグルッペンはクツクツと笑い、トントンは睨んだが赤い為あまり効果は無かった。
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作者名：米（よね） | 作成日時：2023年5月11日 12時
