P.10 真実とエイトフット ページ19
数日後体も本調子に戻りいつも通り仕事をしていた
あの一件から主様はなんだか雰囲気が変わられた
なんていうか…前と変わらないんだけど…うーん…
『(また気のせいかな…)』
｢おい、A｣
『は、はい！』
｢ちょっと陸に出てくる。この書類まとめておけ｣
『…わかりました。お気をつけて…』
｢…別に何もねぇよ。心配すんな｣
『っぅ…はい。いってらっしゃいませ。』
陸に用事だなんて…何かしら…？
...........................................
｢やぁ！久しぶりだねジョー！元気にしてた？｣
｢けっ、相変わらずうるせぇなお前は｣
｢もーひどいなぁ！俺だって忙しいんだよ！｣
仕事の合間を縫って訪れたのはオーシャンの下だった
あいつがいたらまた巻き込まれたらたまったもんじゃねぇ
｢で？聞きたいことってなんだい？｣
｢…正直に答えろ。俺は何を'忘れた'｣
｢！？｣
｢正確にはAを拾った日だ。俺は何を代償に何を忘れたんだ！｣
｢…なんで…俺に聴くの？契約するならアースラのところだろ、あいつに聞けば｢お前らはずっとなにか隠してるだろ｣……｣
｢最初からお前らはあいつを受け入れすぎなんだよ。俺の性格をわかってるお前らならあんな素直にあいつをそばに置くはずがねぇ…｣
｢ジョー…｣
｢……俺はもう…アイツの親にはなれねぇ｣
｢えっ｣
｢…俺はあいつが好きだ。娘じゃなく、Aが好きなんだ｣
｢！！｣
｢だけど、あいつを見るたびに俺の中の何かが壊れてまるで思い出すなと言ってる！お前らは何を知ってんだ！！俺の知らない何を知っているんだよ！！｣
｢……ジョー、やっと思い出して(自覚して)くれたんだ｣
｢は？｣
｢そうだよ、最初から君はおかしかった。あんな顔の君を僕は見たことがなかった。人間に興味の欠けらも無い君が……あんな顔をするなんて…｣
｢…おい、それはどういう事だ｣
｢…なんとなく気づいていたんじゃない。あの子は俺たちと違うって事｣
｢……｣
｢…そうだよ、君は確かに契約した。けど代償も内容も君達には重すぎる！｣
｢なに…いって…｣
｢…君が契約したのは……Aの生前の記憶だよ。…人間の時の…ね｣
｢！！？｣
人間…
あいつが…
｢……｣
｢……そして君が契約の代償にしたのが…君がAと出会ってからの記憶だ｣
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作者名：りあん | 作成日時：2017年12月6日 23時
