2 懐郷病 ページ2
「いちじく〰!聞いてんのぉ?」
紗由の甘ったるい声が辺りに響いた。
「ごめん、考え事してたの!」
「もう、ちゃんと聞いててよね!!」
何で聞いてなきゃいけないの?
あんたの自慢話なんて面白くないのに。
「ほんとにごめんって。」
思っていても、口に出しちゃダメ。
独りになるのはもう嫌だ。
「それでさ〰、吉野学校やめるんらしいよ。」
「え、どうして?」
「なんか、カイキョウビョウ?っだって。よくわかんないや。でも、居なくなってせいせいするわ〰。」
紗由が、心から嬉しそうに笑う。
それにあわせて、私も笑う。
吉野さんは紗由が虐めてた女の子。
夏休みから冬休みの短期間、私たちの学校に通うことになっていた。
何か理由があって家族と離れて暮らすことになっていたはずだ。
カイキョウビョウ。
ホームシック、みたいなものらしい。
帰りたい場所があるなんて、羨ましい。
「いちじくもそう思うでしょぉ?」
「うん、紗由と同じ。」
また、私は笑う。
嘘の言葉を、嘘の顔をつくって。
────懐郷病。
自分を受け入れてくれる場所があれば、こんなこと、してなかったのかな。
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幻花(プロフ) - ありがとうございます! (2018年11月27日 20時) (レス) id: 56f78acefa (このIDを非表示/違反報告)
三月緑(プロフ) - カッコいい感じが好きです 応援しています (2018年11月27日 20時) (レス) id: b53440f7cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幻花 | 作成日時:2018年11月26日 23時