治らないなんて希望を捨てないで【小説】

なんとなーく 楽々 ページ17

ふはぁと大きな欠伸と共にぱちっと目を開く。
彼女にとって目を開く意味なんてないのだけど
こっちの方が心配されないのだ。
それにもしかしたら今日こそ奇跡が起こるかも知れない。

ひょいっと二段ベッドのから飛び降りてさっさ支度をする。
お気に入りの本を手にとってどうせ後で着替えるので
パジャマのまま廊下に出て、とぼとぼとすぐ隣の相方の部屋に向かう。

もうこの時間に起きていてもおかしくないのだが
仮にまだ寝ていて、起こしてしまったらイヤなのでそっと
鍵がかかっていない扉を開ける。

(楽々がいつも元気有り余る煩い人だと思った？
残念！朝は眠いし、配慮もできるのでこれぐらい当たり前なのだ！！)

「(あ、シグレ先生がいる！)」

先客なのでそっと扉を閉じた。

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ふはぁ、と大きな欠伸をひとつ、ふたつして
当てもなく施設を徘徊する。今は一階にいる。
中庭には先客がまたいて……

…？

ふと111号室の前に立ち止まる。
んー…この部屋にいる住民は、確か、えっと…誰だっけ？
まぁいいや！

気になったし、ノックしてみる事にした。

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