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『なかるてぃんに渡そうとして用意してたわけじゃないし...』
「じゃあ誰に渡す予定だったんだよ」

言えない。言えるわけがない。あんたに渡せなかったチョコをあんたの相方に代わりにあげました、なんて。

「...やっぱなかるてぃんなのかよ」
『ちが、違うけど』
「けどなんだよ」
『...ほんとに渡したかった人には渡せなかった、から』
「本命はいるのかよ」
『まあ、一応』
「...ふーん」

ようやく腕の中から解放されて、ヤスの顔がしっかり見えた。さっきよりももっと不機嫌そうにしていて、思わず笑ってしまう。

「なんだよ」
『いや?こんなに欲しがってくれるならやっぱりあげればよかったなーって思って』
「は?」
『渡せなかった本命、ヤス宛だったんだよね』

私の発言を聞いた瞬間、ぽかんとした顔で固まったヤスに照れているのがバレないように、また明日とダッシュで駅へと駆け出した。

「あ、おい!ちょっと待てって!」

圧倒的リーチの差によってあっという間に捕まった私が、彼に告白されて付き合うのはまた別のお話。

ItoKoji→←Yasu



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作者名:苺砂糖 | 作成日時:2024年2月10日 22時

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