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有岡「… 、大丈夫?」
「うん … 、ごめん動揺しちゃって、」
有岡「全然 、いのちゃん、大切な人がいたことまでは覚えてんだな、」
「そうだね …」
私は、伊野尾さんの中で。大切な人として、生き続けていた。それがなんだか、申し訳なくて、でも嬉しくて。そんな複雑な気持ちが、私を支配していた。
有岡「にしても、この形、めっちゃ不器用なハートだけど、」
「ひねくれてたから … ハートのパイ、作りたくなかったんだよね、」
私が、慧への訴えの気持ちで作ったいびつなハートのラズベリーパイ。これを出した時、慧は、苦笑いしながら。
伊野尾「Aみたいで、なんか可愛い」
と、そう言ってくれたこと、今でも覚えている。
有岡「お会計しとくから、先出てていいよ、」
「ありがと、」
お店の前に並んだ沢山のお菓子を眺めていると。伊野尾さんが近付いてきて。
「これ、伊野尾さんが作ったんですか?」
伊野尾「そ、俺お菓子作るの好きなんだ、どれか1個、持って帰っていいよ、」
「ほんとですか…?」
伊野尾「その代わり、常連さんになってね、?」
「…はい、笑」
伊野尾「そうだ … 、俺達同い年でしょ?タメ口でいいよ」
「… はい … じゃなくて、うん」
伊野尾「はは、可愛い笑」
じゃ、また来てね。そう言って、私と大貴を笑顔で送り出してくれる。
家に帰って、伊野尾さんに貰ったお菓子をあけた。
「可愛い … 、」
くまのアイシングクッキー。可愛くて、口に入れると、甘くて、美味しくて。
こんなのを作る伊野尾さん、器用だなぁ。なんて感心して。
「っ … 、」
不意に、涙が零れた。
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作者名:莉音 | 作成日時:2019年1月9日 11時