Always with you【佐野玲於】

【弱い】 ページ35

玲於side







詩音が日本に来て、2年がたった夏。





詩音がE-Girlsに入ってからは1度もあってない。









…これでいいんだ。







しばらく会わないうちにどんどんスターになって、






電車乗ってるときに、近くの女子高生が詩音の話してたり。



すごいよ。さすが。









でも、会いたいって言うのが本心で、なんとか誤魔化そうと海に向かう。








海には先客の姿。









…神様、いるならありがとう。








小さいその背中が、さらに小さく見える。









何気なく隣に座ってみる。







「玲於くん…」





驚いた様子の詩音の目には涙がたまっていて、






「…なんかあった?」






って聞いても、




“ううん、大丈夫”って。





その涙が流れることはなくて。





「…昔の俺だったら、玲於くんじゃなくて玲於だったら…頼ってくれた?」




って、我ながら最高に意地悪な質問だわ。







「どうなんだろうね。」





って、遠い目をしてる詩音。







「…なんで泣かないの?」






ってこれまた意地悪な質問。









「…お母さんと約束してるの。嬉しいとき以外泣かない。」






…辛い約束してんな。







しばらくして、詩音が話してくれる。









「私が日本に来てから親と1回も会えてなくて。戻ってこいって言われたからケンカしちゃっただけ。」







…だけ、じゃないだろ。






…お前にとっては大事なことだろ。









「…会いたい?」





「…会いたい」







「……さびしい?」




「……さびしい。」









そう言った詩音は、簡単に壊れそうなぐらいもろくて、




簡単に消えそうなぐらい儚くて。









……俺が繋ぎ止めとかないといなくなる。









……気づけば詩音を抱き締めていた。






「俺はそばにいるから。だから、それでいいじゃん」








なんとか“好き”は飲み込んで。





…やっぱ俺は弱くてズルい。





俺が一緒にいたいだけなのにな。









「…優しいね」





「…優しくなんかねーよ」









「優しいよ。…甘えたくなっちゃう。」







って俺の胸に顔を埋めてくる詩音。







“甘えていいよ”って呟きは、



伝わったのか伝わってないのかわからない。









……でも、詩音が俺のTシャツ濡らしてくれてるんだから、それでいいかな。

作者→←【やっぱすごい。】

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