【ポケモン】マーベル&メーリ地方を旅しましょ【募集計画】小説版Part2 (ページ35)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:7,195 hit

クリスマス編39話【ルーチェ】ページ35

大変なことになってしまった。
だが、ヴァニラは焦ってはいなかった。
「ありがとう)」オオスバメにそう言って、僕はボールにオオスバメを戻す。

「“サイコキネシス”！」
その言葉が聞こえるやいなや念の力が飛んでくる。ヴァニラはそれを軽く避けてやっぱり、とつぶやいた。

「声で分かるんだ」
その声がした方を見ると大きな木の上で手を後ろで縛られてるマリと共に長い灰色の髪、そして色違いのミュウが見える。
「……ショコラ」
「久方ぶりだね。本当に一人で来るとは思わなかったよ」
「そんな事はどうだっていいよ。なんで攫ったんだ？」
マリはヴァニラとショコラの親しげなやりとりに困惑していた。
「さぁ、なんでだろうね」
「というかこの手紙はどういう事なんだ……」
「一応全部本当の事だからね。仕方ないね」
ははは、と笑って答えるショコラ。

「ま、元気そうでなにより。約束通りマリは返すよ」
木の上からミュウの力で降りてくるショコラとマリを受け止める。
「ヴァニラ……誰なの？この人は」
「僕の双子の弟だよ。名前はショコラ」

「それじゃ、僕はここで……」
どこか哀愁の漂う笑顔を顔に浮かべて、フライゴンを出すショコラ。
「ま、待って」
それを引き留めたのはマリだった。
「……何？」
「ショコラは、クリスマスパーティ参加しないの？」
「……はは、何を言うかと思ったら」
「だって、さっきまでずっと気にしていたじゃない」
「……戯れ言を」
鼻で笑って見下すような言葉を吐き捨てる。そんなショコラにヴァニラはいい笑顔で言い切った。
「そうだね、じゃ兄の命令って事で強制参加」

「……相変わらずクソだな、兄さんは」
そう言いながらもショコラはどこか嬉しそうに微笑んだ。

「で、結局来たのね。ショコラ」
カレンの言葉にショコラがやれやれといった様子で言う。
「まぁ仕方なく」
「とか言ってるけどショコラさん私のホロキャスターに何件どうすれば参加できるかなぁって……」
リーストの言葉に皆がへ？と言うと同時にショコラが少しだけ顔を赤くして叫ぶ。
「おおっとミュウがすべったぁ！うっかり“はどうだん”がぁ！」
「あぶなっ！！」
わーきゃー騒ぐ人を置いていくようにヴァニラがベランダに出る。

外はゆっくりと夕暮れへと進んでいく。
分厚い雲が空を包み、覆い隠している。
灰色の雲からは真っ白な結晶が降る。

「……クリスマスがくれたプレゼント、かな」
ショコラとの再開に思う言葉を呟き、ヴァニラはそっと目を閉じた。