母になる first love

＊four＊ ページ7

それは、お母さんの家へ向かうときの事_____。




駿佑「はぁ、完全に乗り遅れた………。」



変な緊張感を持ってたから
ホームに立ち尽くしたまま電車を後にしてしまった。




でも今日は夜までには施設に帰らなきゃ行けないんだけど……。









　


そんなふうに頭を抱えて俯いていたとき、君の愛しいその声が聞こえたんだ………。




「……ﾊｧﾊｧﾊｧ、ｯ、………あぁ〜、失敗したぁ〜…………」



ん？俺以外に乗り遅れた人なんて居たんだ……。




　



そうは思いつつも初対面の相手に突然“やあ。”

的なノリで話し掛けられても相手は女子だからとても不信に思うだろう。






とは言っても



………このホーム、俺ら二人しか居ないんだけどなぁ………………。




「…ぁ、あのっ、貴方も、乗り遅れちゃったんですかっ…？」



駿佑「……え、あ、うん。そうですね。苦笑」




急に話し掛けてきた君に
動揺が隠せず、言葉がうまく言えない。






「……やっぱりそうですかぁ…。私、そこらへんで転んじゃって……(笑)」



駿佑「大丈夫ですかっ？怪我…してないと良いんだけど……。」




そう俺が相手の顔を伺うと

………ぜ、全然大丈夫なんでっ、！



と一本後ろへ下がる。





「あ、あの、貴方もどこかへ…？」


駿佑「あぁ、初めて帰る母親の家に………。」





　

「わわわ、私っ！桜丘Aって言います！！

　きゅ、急に自己紹介なんかしてすみません(笑)」



……え、？



駿佑「……も、もう一度言ってっ？」




「え？……あ、えっと………桜丘Aですっ。……けど、


　どうかなさいましたか……？」




……嘘だ…、こんなこと……あるわけないだろ………。



駿佑「……A…。」


「ふぇっ？……きゅ、急に呼び捨てですかぁっ？」


マヌケな声……、昔と何にも変わってないや。




駿佑「柏崎 駿佑…………、覚えてない……？」



俺の名前を聞いた途端

口を……ぁ、と開けて大きな瞳を更に大きくさせて

じっと俺を見つめる。




「………嘘、……だよ……………そんな訳…無いじゃんっ！！


　ふざけないでっ！……わたしがっ、…私がどれだけっ、






　苦しかったか分かってるのっ……！？………ﾌｯ、ｸﾞｽﾞｯ、……」



そういってへなへなとしゃがみ込んで
泣きじゃくるA。

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