冷酷な王子に恋、始めました。Takuya.K (ページ36)

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35love ページ36

あっ……！今日もお昼届けて来なくちゃ…。

　
そう気づいてリュックからお弁当箱を取り出す。
ふふっ、今日は初めてお弁当を拓弥先輩にあげるんだっ。

……拓弥先輩、喜んでくれるかな…。

　
今日は一階の購買をわざわざ通らなくても屋上に
行けそうだな。って思って廊下を歩いてたんだけど…

　

「うわぁっ……！！」

「………えっ！？」

　

　

少し先の辺りで見るからにバスケ部の三年生の先輩が
走りながら脚を絡めてしまって転ぶ姿が見えた。

え、普通にやばい。

　

助けに行かなきゃ。と思って前に脚を動かした。

………その時。

「……こんなとこでこけんな。…あほか。」

「……ぶー！しょーがないじゃんっ。」

「転んだ癖して文句言うな。」

　

　

　

「………………拓弥先輩、…っ、」

転んだ先輩の腕を持ち上げて打った膝を優しく
摩ってあげてる拓弥先輩がいた。

　
私が今まで見たことないくらいの

…………笑顔で…。

いつもの怖い口調でも、表情は柔らかくて
二人が親しい関係なのがすぐに分かった。

　

拓弥「…めんどくせー、…保健室行くぞ。」

「あっ！ちょっと待ってよ～。」

　

あの先輩の為に保健室に向かった拓弥先輩は
あっという間にこの場から消えていた。

……こっちに全く気付かずに…。

　

呆気なく、花びらが散ったかのような胸が傷む
想いがした。

　
どうしたらいいか分からなくて、状況も上手く掴めなくて
とにかく、屋上に行くことも嫌で………。

　

教室に走って帰った。