冷酷な王子に恋、始めました。Takuya.K (ページ34)

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33love ページ34

海side

………光る、…物…か。

　
確かにAちゃんはいつも眩しいくらいの
笑顔と大きく広がった形の好い唇と

綺麗に上がった目尻が俺をいつだってくすぐる。

　

それに気づけてる時点で…………

　

　

拓弥。お前はもぅ、恋に堕ちてる。

　

拓弥「……多分、容姿よりな？その何かに吸い込まれていった。

　
　 ……………でも、それは憧れでしかない。だから、違う。」

　

……拓弥、まだ気付かないのか？

自分がどれだけ凄いことに目が行ってることを。

　

Aちゃんは可愛い。綺麗だ。

　

でも、それ以上に魅力がある。

　

自分があれだけ可愛いのに気取らず、いつも明るくて
自由気ままそうに見えて、意外としっかりしてたり。

自分の気持ちを思うままに素直に言えるからこそ

相手にも届くし、信頼されるんだと思う。

　

……多分な、拓弥は自分に欠けてると感じてるところに惹かれてるんだ。

拓弥は昔から自分の気持ちを表に出せない性格だった。
なかなか素直になれなくて、上手く伝わらなかった事もある。

でも、拓弥にはちゃんと信頼してくれる人が居る。

Aちゃんみたいに真っ直ぐな奴じゃないけど
伝わってる人にはしっかり胸に響いてる。

言葉に出来ないだけで、心では暖かい感情を持ってることを。
　

だからそれに慣れて、今は自分の正直な気持ちに
気づけないんだと思う。

海「ん、そっか。」

　
俺は名残惜しそうにどことなく切ない瞳をしながら
俯きがちにそう言った拓弥に相槌だけ打った。

　

まだ、

気付かなくてもいい。

　

…ゆっくりでいいから

　

　

　

………素直になれるのをただただ、待つから……。