12love ページ13
バタンっ
と鉄でできた重たいドアを
開いて、手を離したら
意外と物凄い音がして我ながらしくじったと感じる。
どこかなぁ…とキョロキョロ探してたら
屋上の更に上の階段の辺りから笑い声が聞こえた。
拓弥「……おまっ……ぷっ、……アホみてぇ…(笑)」
「…そ、そんなに笑わなくたっていいじゃんっ!
…ほらっ、パン。」
拓弥「さんきゅ。」
私の姿を見るなりお腹を抱えて
本気で笑っている拓弥先輩。
その姿が憎たらしいのか、可愛いのか
私には分からない。
投げつけたパンを上手くキャッチすると
短くお礼を言って
…いただきます。と丁寧に手を合わせる。
と同時にパクッとパンをかじった。
うまっ。と一言だけ呟いて
モグモグとハムスターみたいに黙々と食べる拓弥先輩。
……なんか、可愛い。
……いいなぁ、お腹すいた。
もう、私のお腹は最高潮に達していて
お腹と背中がくっつきそうだ。
帰るね。と伝えようと思ったら
「……あの、私帰るn……………っ!」
「………っ、ゴクッ」
拓弥「良く噛んでから呑めよ。」
食べかけのパンを開いた私の口に
無理矢理放り込んだ。
その甘さはペコペコのお腹と
身体中を柔らかく満たしてくれる。
拓弥「百瀬、お腹空いてんだろ。礼。」
そう言ってまたパンを食べはじめた
拓弥先輩。
………あれ、私。
間接キス、したっ……。
そう気づいたら急に顔が
ボッと暑くなってしたを見る。
拓弥「ん?お前、なんか気にしてる?」
拓弥先輩、問題発言っ!
「……い、いや……じゃっ、私帰りまーすっ!」
この場に居るのは堪えられなくて
走って逃げる。
拓弥「……ほんとにキス、したわけじゃねぇんだから
そんな照れんな。」
最後にその一言だけをかけられた。
その時の拓弥先輩は
唇をニコッと伸ばして
珍しく優しく微笑んでいた。
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作者名:れんちゃむ | 作成日時:2017年8月27日 0時