誰かのために【TOKYO MER】 (ページ2)

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玲奈side

「何やってるんですか？喜多見チーフ。もう始まりますよ？」
「え、もうそんな時間？」
『早くしてください。筋トレなんてしてる暇じゃないですよ…。』
「ですね。」

式典がもうすぐ始まるというのに詰所まで比奈先生と来るとこの有様。てか、ほかの方もまだいないし…。まぁ、皆さん兼務してるからなぁ…。ま、私も比奈先生もそれは一緒なんだけど。

「えっと…。ジャケット…。あった…！」
ガン
「いった…！まずいねぇ…。まずいねぇ…。」

ハァ。このチーフ本当に大丈夫なのだろうか…。比奈先生と見つめあう。同じことを思っているらしい…。

「え、お風呂入ってないんですか？」
「ばれました？においます？」
「いや、そういうわけじゃないですけど…。大事な式典なので。」
「やめてくださいよ…。そういうこと言われると緊張しちゃうから。ほんっとに苦手なんですよね…。こういうの。」
『得意な人とかそうそういませんって…。とりあえず早くしてください。本当に式典に遅れますよ？？？』
「ハア…。」

隣で比奈先生がため息をついた。わかる、私もため息つきたい…。

TOKYO MER。東京都直轄の医療機関で、医療特殊機能を搭載したERカーで現場まで駆けつけ、治療を行う。
医師4名、看護師2名、麻酔科医1名、臨床工学技士1名、計8名によって構成されている。