【歌い手】悪女屋さんーZweiー

#28 ページ3

蝉も五月蝿く鳴き出し


朝から蒸し暑いこの日

　
やっと、ヒロインからお呼びだしがかかりました。


もうリミットかと少し嘆きつつ空き教室へ鉛の足を動かす


美「あ、良かった！来てくれた」


依頼主はもう来ていたようで


これまたあざといポーズをして私を迎え入れた


『遅れて申し訳ありません。本日のご用件は"潰す"ですよね？』


念のため確認


情がわいてやっぱなしとか言われるとこちらも困る


美「うん。でもさぁ、あんた何で味方なんてつくってんの？許可した覚えないよぉ」


いきなり低くなる声と壁に打ち付ける足

普通の人なら怖いと思うだろうがこれも想定内


『これもプラン内ですよ』

そうにっこり伝えると大抵の人はなぁんだ！で終わる


美「なんで？そんなのなくても出来るよね？」


『.......本物のヒロインになりたいなら悪女が味方をつけ裏切り、そこに手をさしのべるのが得策かと』


美「....っ、決行は来週の水曜日の昼休み。この教室で」


『了解しました』


じゃあ、よろしくねぇと少し気持ち悪い笑みを浮かべ出ていったヒロイン


『こちらもこちらで準備しないとなぁ』

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