標的21 デスサイズと実体−１ ページ9
トーマ視点
「試合開始！」チェルベッロの合図と同時に、ボク達は駆け出した。
ボクの首を刈り取ろうと振り回されたデスサイズは、ボクが身体を低く屈めた事でびゅん、と空気を切るだけで終わる。
ボクがファルソの足を目掛けて棍で薙ぎ払うが、彼は高く飛び上がって それを避けた。
そのままファルソは宙で一回転をしてボクの後ろに回り込む。
ボクは振り向くより前に手の平を後ろに向け、「氷魔法(マジーア・ギアッチョ)」と呪文を唱えた。
身体の中から沸き起こるエネルギーが手の内に集まり、それは幾つもの氷柱となってファルソを襲った。
ファルソは咄嗟にデスサイズで氷柱を弾き返したが、一本の氷柱が彼の太股に刺さる。
ぱきぱき、とファルソの太股に吸収される氷柱は、しかし完全には彼の太股を凍らせられなかった。
この氷柱は、必ず全ての物を凍らせられる訳では無い。
ボクの体調やエネルギー(魔力)は勿論、相手の状況と実力差によって効果は変わって来る。
前に光学迷彩を着た二人組を完全に凍らせられたのは、ボクと彼らの間に圧倒的な力量差があったからであり、暗殺部隊の幹部相手にそう上手く行かないのは承知の上だ。
ボクから一度距離を置いたファルソが、自分の太股に触れて冷静に調べた。
｢氷……いや、死ぬ気の炎を変えているのか｣
｢大体はそうだな。
けれど、ボクの氷は雪の死ぬ気の炎の性質と魔力を活かした物で、マイナスの状態では無くプラスの状態、つまり死ぬ気モードのまま使う事が出来る。
ベースは魔力だから、炎の枯渇を気にする必要も無いんだ。
ボクや『彼』は、これを『魔術』と呼んでいるよ｣
｢魔術？ 随分とメルヘンな事を言うんだな｣
ファルソは大きくデスサイズを振り被った。
刃を覆うように巻き起こる風は、彼がデスサイズを振り払うのと同時に竜巻となって僕に迫り来る。
『大鎌の風(ヴェント・ディ・ロンコーネ)』。彼が小さく詠唱した。
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ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！ (2019年7月2日 18時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しみにしております！これからもどうぞ無理をしない程度に頑張って下さい。 (2019年4月27日 13時) (レス) id: 1e9e5f7638 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル | 作成日時：2019年4月27日 10時
