標的30 姫は俺のもの−３ ページ34
麗羅視点
｢まさか姫が雪の守護者だったなんてな。
その声は変成器で変えてたの？｣
｢ベルさん、あたし……｣
真剣な表情のベルさんに見つめられる。
ああ、終った……あたしは絶望した。
もうあたしは、『麗羅』は、ベルさん達に助けて貰っただけの少女では無くなってしまった。
あたしとベルさん達は敵同士。
もう仲良くする事は叶わないんだ。
それに、怖い。
ベルさんは残酷な人だ。
どれだけ親しい仲であっても、気に入らなければ殺してしまう人。
あたしは、此処で殺されてしまう。
……違う、もう正体はばれてしまったんだ。
何も無かった事になんて出来ないんだ。
なら、ベルさんより先に遣らなくちゃ。
この距離なら、ベルさんでも凍らせられるかもしれない。
あたしが手に死ぬ気の炎を灯し始めた刹那、ぴっと眼球すれすれにナイフが添えられた。
不自然な位に口角を上げ、無邪気に笑いながら殺気を向けるベルさんが怖い。
瞬きすら出来ない。
息苦しささえ覚えた。
｢うしししっ！
姫ってば何怯えてんの？ 超うける！
そんな姫に、王子が直々に裏切った裁きを与えてやんよ。
右目からが良い？ それとも左？｣
一度ナイフを遠ざけると、ベルさんが今度はもう片方の眼球すれすれにナイフを近づけた。
「何方にしようかなー」と歌い始める。
「ベルさん、」あたしの喉から出た声は、酷く嗄れていた。
怖い、恐い、誰か助けて……！
ベルさんの顔から笑みが消えた。
すっとナイフが離れて行く。
困惑から目を丸くするあたしの顔を、ベルさんがフードで隠した。
｢うっそー。
俺が姫に手ぇ出すと思った？
んな訳無いじゃん。
姫が雪の守護者て事は、本当に俺らが勝ったら姫を連れて帰れるって事だぜ。
最後に結ばれんのは王子と姫だって、相場が決まってんだよ｣
ベルフェゴールは優しく笑むと、ボクに背を向けてマーモンの方へ行った。
殺されないと分かった途端、止めどなく涙が溢れて出て来た。
怖かった、助かった。
こんな所で泣いてしまう自分があまりにも情け無くて、ほんの強がりと云う風に、声を上げる事だけはしなかった。
ポールを倒してマーモンの解毒をし、髑髏の手足を拘束して天井に吊り上げ、ベルフェゴールは着実に指輪を奪う為の準備を進める。
壁に縫い付けられたボクは、泣きながら それを見つめる事しか出来なかった。
(ごめん。ボク、皆の足手纏いだ……)
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ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！ (2019年7月2日 18時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しみにしております！これからもどうぞ無理をしない程度に頑張って下さい。 (2019年4月27日 13時) (レス) id: 1e9e5f7638 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル | 作成日時：2019年4月27日 10時
