【リボーン】純情クワドラングル (ページ47)

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標的16　スクアーロという男－２ページ47

麗羅視点

｢スクアーロさんの事、気にしてるんだね｣

名前を出すと、山本君の顔に影が差した。

開いた両膝に肘を付き、山本君が俯く。

ぼそりと、「悪ぃ」と謝る声が聞こえた。

｢スクアーロを助けられなかった。
俺がもっと、ちゃんとしていたら――｣

｢山本君のせいじゃ無いよ。
そりゃあ、悲しいけど……でも、多分だけど、スクアーロさんは死んで無いと思う。
そんな気がする｣

山本君が徐に顔を上げる。

曖昧に苦笑する山本君はきっと、唯の慰めの言葉として受け取っただろう。

鮫に襲われたのは、紛れも無い事実だから。

でも、スクアーロさんは生きている。

あたしは知っている。

詳しく伝えられないのが遣る瀬無い。

あたしに出来るのは、少しでも山本君の気持ちを軽くする事位だ。

だから、「死ぬ訳が無い」なんて、山本君からしたら何の根拠も無い事を言うしか出来ない。

強く握り締められた山本君の拳に手を乗せて、はっきりと其処だけは断言する。

すると山本君は再び苦笑した。

｢麗羅は本当に、スクアーロの事を信頼してるのな｣

｢勿論。だって、スクアーロさんは強いもん。
いきなり『う゛ぉおおい！』って現れて、『勝手に殺すんじゃねぇ！』って怒鳴って来そうだよ｣

｢かもしれねーな。
なんか、簡単に想像出来ちまう｣

其処でやっと、山本君の纏う空気が明るくなった。

遠くを見て口角を上げていた山本君は、自分の拳に乗ったままだったあたしの手を握って立ち上がった。

唐突な事に虚を突かれながらも、あたしも釣られて立ち上がる。

友達とは云え異性に手を繋がれて、何だかちょっと、恥ずかしい。

「そろそろ帰ろうぜ」と山本君が言った。

時計を見れば、既に日付が変わっている。

あたしは「うん」と頷いた。