【リボーン】純情クワドラングル (ページ43)

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標的15　時雨蒼燕流－１ページ43

トーマ視点

｢それでは、雨の指輪。
Ｓ・スクアーロ対山本武、勝負開始！｣

チェルベッロの合図と当時に駆け出したスクアーロが山本に斬り掛かる。

それを躱した山本に刃先から火薬を浴びせ、後ろに回り込んで真剣を振り翳す。

どぉん、と云う爆音と共に、山本の周りに煙が上がった。

その煙は土星の輪っかのような歪な形をしている。

――時雨蒼燕流、守式七の型・繁吹き雨。

時雨金時を抜いた山本の攻めが始まる。

逆巻く雨、五月雨……時雨蒼燕流を惜しみ無く使う山本に、主君やリボーン達が笑顔になる反面でディーノの顔が険しい物になって行く。

大きく振り被った山本が、スクアーロの腹部を斬り付けた。

だが、スクアーロは刀の軌道に合わせて一瞬身を引いて躱す。

そうして素早く振り下ろされた真剣は、山本の左肩を深く斬り付けた。

目を見開き、山本は何が起こったのか分からないと云う顔をしている。

どぱ、と噴き出る鮮血。

山本がその場に両膝を突いた。

痛い、痛々しい。

モニターの荒い粒子でも見える赤黒い傷跡、止まらない鮮紅色の生き血。

見ているだけでも痛々しい怪我を、山本は受けたのだ。

勝つ筈なのに、山本は強いのに、不安で怖くなって来る。

もし山本が後遺症を伴う大怪我を負ったら、もし山本が殺されたら……想像したくも無い光景が浮かんで、息が詰まる。

息も絶え絶えに立ち上がった山本は、スクアーロの真剣を間一髪の処で左に躱す。

標的を失った真剣は校舎の柱を引っ掻き、その破片が山本の右目を切った。

スクアーロが口角を上げて笑む。

傷だらけ山本を、愉し気に。

｢どうだぁ、痛いかぁ！？
絶望的なバッドニュースを教えてやる。
貴様の技は見切ってるぜぇ。
時雨蒼燕流は、昔捻り潰した流派だからなぁ｣

｢聞いてねーな、そんな話。
俺の聞いた時雨蒼燕流は、『完全無欠、最強無敵』なんでね｣

スクアーロの話を聞いても尚、山本は強い意志を眼に灯したまま。

それでも山本がピンチなのは変わり無くて、スクアーロが時雨蒼燕流を破った事を伝えておけば良かったと強い後悔に駆られた。

そうすれば、山本が怪我をしなくて済んだかもしれないのに。

山本が頼りになるからって、ボクは何の為に道場へ行ったんだ。