【リボーン】純情クワドラングル (ページ33)

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標的11裏　王子様と鮫のお兄ちゃん－２ページ33

山本視点

ヴァリアーがいなくなった事に、張っていた神経が緩む。

名前を呼ぶと、麗羅が神妙な顔付きで振り返った。

｢あたしね、実はヴァリアーの人達と会った事があるの｣

麗羅が言う。

そう云えば麗羅もイタリア出身だったな、と思いつつ、「そうなのか？」と相槌を打つ。

麗羅は嬉しそうで懐かしそうで、でも淋しそうに日本に来る前の話をした。

麗羅の話に出て来るヴァリアーの奴らは、愉快で面白そうだった。

暗殺部隊と云う肩書から、普段から物騒な奴らだと思っていた。

だが、案外コメディアンだ。

それでも、スクアーロのベッドで寝たと云うのは聞き捨てならない。

明るく話す麗羅の様子からして何も無かったと思うが、暗殺者の部屋で――知らなかったとしても――寝るのは無防備だ。

相手がスクアーロなのも納得が行かない。

話し終えた麗羅の顔からは、『辛い』と云う感情が痛い程伝わって来た。

俺からすればヴァリアーは倒すべき敵だが、気持ちは少し分かる気がする。

励ますように麗羅の頭を撫でた。

｢スクアーロさんは何だか、お兄ちゃんって感じの人だったよ｣

｢スクアーロが兄ちゃん？
想像出来ねーなぁ｣

あの強面と濁声で懇切丁寧に箸の使い方を教えるスクアーロを想像すると、スクアーロの顔をしたツナの御袋になってしまって、思わず苦笑した。

俺の中のスクアーロは、ひたすらに強い剣士。

一週間前は全く歯が立たなかったが、今度こそ倒してみせる。

「三秒で下ろしてやる」と宣言した昨日のスクアーロに、心の中で「それは此方の台詞だ」と言い返した。

ふと麗羅の方を見ると、険しい顔をしていた。

不安、なのだろう。

｢勝って仲直りしような。
じゃねーと麗羅が持って行かれちまうし｣

冗談めかして言う。

でも、俺は至って真剣だった。

スクアーロに勝って、チーム全体でも勝って、これからも麗羅と笑うんだ。