【リボーン】純情クワドラングル (ページ28)

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標的11　王子様と鮫のお兄ちゃん－１ページ28

麗羅視点

｢お前、昨日のヴァリアーだよな。
麗羅に何してんだ？｣

あたしを引き寄せた山本君の声は、凍てつくような低さだった。

何時もの朗らかな様子からは想像も出来ない山本君を、あたしは一度だけ見た事があった。

黒曜ランドで、城島さんと対峙した時だった。

斜に構え、正面に立つベルさんを睨み付ける山本君。

ベルさんも先程までの機嫌の良さは何処へ行ったのか、殺気を放っている。

前髪で見えないが視線も感じる。

｢スクアーロに負けた奴じゃん。
姫の何なの？｣

｢姫って、麗羅の事か？
麗羅は大切な親友だぜ！｣

「なっ」ぽんぽんと肩を軽く叩かれる。

それに頷くと、「ふーん」とベルさんが詰まらなさそうに言った。

ベルさんが懐に手を入れる。

ベルさんが身体の至る所にナイフを隠し持っている事を知っているあたしは、ペンダントを握り締めて山本君の前に出た。

しかし、ベルさんは躊躇した後、手を下ろした。

ナイフは持っていない。

｢しし、今回は引いてやるよ。
でも今晩からの勝負に勝って、指輪と一緒に姫も返してもらうから。
だって俺、王子だもん｣

｢それは無理な話だぜ。
勝つのは俺達だからな｣

｢王子に盾突くとか、生意気｣

ベルさんがふいと顔を逸らす。

呼び止めようとする前に、ベルさんは人込みに紛れていなくなってしまった。