【リボーン】純情クワドラングル (ページ26)

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標的10　王子様と邂逅－２ページ26

麗羅視点

スクアーロさんと、ベルさんと、ルッス姐さんと。

久しぶりに会った彼らは、『一晩泊めてくれた恩人』では無く、『暗殺部隊の幹部』だった。

あの日、箸の使い方も分からなかったあたしに教えてくれた時の優しい笑みは、何処にも無く……彼らから感じたのは、冷たい殺気だけだった。

分かっていた筈なのに、殺気を向けられた事がとても辛かった。

マントを着ていて良かったと思う。

彼らの中で『麗羅』は、まだ『昔助けた少女』のままだ。

｢姫？あ、やっぱ姫だ！｣

あの日、ベルさんは今みたいに、あたしを『姫』と呼んでいた。

あたしが嫌がってもガン無視で、勝手に横抱きして来たり抱き締めて来たり。

「ひーめ」そう、そうやって無邪気な子供みたいな声で……。

其処であれ、と何かに気が付く。

瞬間記憶能力のお陰でベルさんの声は鮮明に覚えているけど、だからと言って幻聴が聞こえる訳では無いのだ。

｢と、云う事は……｣

｢おい、何王子を無視してんだ｣

怒った、と云うか拗ねたような声が聞こえ、何時の間にか下がっていた顔を上げた。

すると目の前には、口をへの字に曲げたベルさんが立っていた。

「ベルさん！？」と思わず素っ頓狂な声が出る。

『噂をすれば影が差す』とはよく言った物だ。

あたしが存在に気付くと、ベルさんは「ししし」と満足気に笑った。

｢久しぶりだな、姫！
思ったより早く会えて俺、超嬉しいんだけど！｣

｢そう、ですねー。
まさかこんな所で会うなんて｣

｢だな。あの日以来だからね｣

ぐ、とベルさんの腕の中に引き込まれた。

目の前には黒と紫のボーダーがあって、香水に混じってベルさんの好い匂いがする。

恥ずかしくて照れ臭くて、全身の熱が顔に集中して行くのが分かる。

でも、こうして親しくしてくれる事が嬉しかった。

本当の再会を果たした昨日、ベルさんは初めてあたしを批判した。