標的51 チョコバナナ−１ ページ11
麗羅視点
何時もは夜になると真っ暗で静まり返る筈の並盛神社。
しかし、今は午後八時過ぎとは思えない程、辺りは屋台の灯りに包まれて明るくなっていた。
長かったようであっと言う間だった一学期も終わって、夏休みと云う暑中休暇も一週間が過ぎた。
今日は夏祭りと云う事で、あたしは京子さんとハルさんと屋台を見て回る事になっている。
人々の活気の好い声と陽気な音楽を背に、あたしは鳥居の前に立っていた。
家族連れや恋人同士を目で見送っていると、「麗羅ちゃーん！」前方から、あたしの名を呼ぶハルさんの声が聞こえて来た。
｢ごめんね！ 待った？｣
｢ううん。あたしも今来た処だから、気にしなくて良いよー｣
肩を竦めて合掌する京子さんに、あたしは首を横に振った。
二人が駆け寄って来る時にも思った事だが、京子さんもハルさんも、浴衣がとても似合っている。
京子さんの浴衣は水色の布地に赤色の金魚が泳いでいて、帯は白だ。
ハルさんの浴衣は白地に三つ葉が沢山散りばめられていて、帯は紺色。
ハルさんはサイドに髪を束ねていて、普段のポニーテールとは違った大人っぽい印象を受ける。
対して、あたしはジーンズ生地の短パンと黒Ｔシャツに、お決まりのツインテールと云う地味な恰好だ。
浴衣は自分で着られない上に動きにくいので着たいとも思わなかったが、この二人と一緒に歩くのならば着て来れば良かったと後悔する。
素直に褒めると、二人は頬を少し紅潮させて「ありがとう」と微笑した。
辺りをきょろきょろ見回す京子さんは、ツナ君を探しているのかもしれない。
｢ツナ君達、お店出しているんだって｣
｢そうなんだ〜。一緒に花火見ようと思ったのに、残念だね｣
｢じゃあ、ちょっと様子見に行きませんか？｣
ハルさんの提案に、あたしと京子さんは名案とばかりに大きく頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 146人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レイチェル | 作成日時：2018年8月29日 9時
