標的27 転校生、再び ページ6
麗羅視点
次の日、うちのクラスに再び転入生が来た。
体育館で昨日会った、獄寺隼人君だ。
自己紹介はせず、眼を飛ばしている獄寺君にびびった先生が、代わりに紹介していた。
整った顔付きで眉間に皺を寄せた険しい表情を浮かべる姿が恰好良いと、色んな女子が顔を輝かせている。
あたしも仏頂面だった方が良かったかもしれない。
先生が「獄寺君もイタリア出身だ」と言うと、クラスが騒めいた。
「麗羅もイタリアだろ？」と云う声が沢山聞こえて来る。
一週間に二度も転入生が来る事自体が異常だ。
二人共イタリア出身となれば、偶然と思うには少し無理がある。
ちらりと振り返ったツナ君が、小声で訊いて来た。
｢麗羅って、あの転入生と知り合い？｣
｢まっさかー。こんな偶然ってあるんだねー。びっくりしちゃったー｣
大きな声で、わざとらしく返した。
ツナ君と同じ事が気になったらしい女子からの視線が、痛かったからである。
一度も獄寺君に目線を向けず、ツナ君に対して肩を顰めると、刺さっていた痛い視線が無くなった。
――がっ。先生の指示を無視し、徐に此方へ歩いて来た獄寺君が、ツナ君の机に蹴りを入れた。
隠しに手を突っ込んだまま、碧眼をぎろりと動かす獄寺君に、ツナ君が「ひぃいっ」悲鳴を上げた。
獄寺君は自分の席に行くかと思っていたが、次にはあたしの机を思い切り叩いた。
｢てめーも あの人に呼ばれて来たのか｣
唐突に予想外の事を訊かれ、あたしは どう返して良いのか分からず首を傾げた。
獄寺君は舌打ちをして、今度こそ自分の席に行った。
あたしとツナ君は、目を合わせる。
｢何だよ、あの転入生。なんで俺と麗羅に？
って云うか、『あの人』って？｣
｢さあ……。気にしなくても良いと思う｣
ツナ君は納得の行かない表情をしたけれど、話し始めた先生の方へ向き直った。
獄寺君が云う『あの人』が誰か、どうしてツナ君に突っ掛かったのか。
それは兎も角、あたしにも絡んで来た理由が分からない。
何故あたしも『あの人』に呼ばれたと思われているのだろうか。
何だか嫌な予感がして、あたしは そっと溜息を吐いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 110人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「逆ハー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レイチェル - S隊長さん» そう言って頂けると、嬉しいです。これからも頑張ります。ありがとうございます！ (2018年5月6日 11時) (
レス) id: e5404397aa (このIDを非表示/違反報告)
S隊長 - すごく面白くて更新を毎日楽しみにしています！！ (2018年5月5日 21時) (レス) id: c58740c157 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レイチェル | 作成日時：2018年4月30日 17時
