標的35裏 お前は何者だ−１ ページ37
リボーン視点
雲雀の蹴りを腕で受け止め、棍から片手が離れた次の瞬間だ。
麗羅の手が強く握られると同時に、麗羅の周りに出来た冷風が、応接室全体を白く覆った。
頬に当たる冷たい感触と白色い剣幕から、雪か或いはそれに似た何かだと推測する。
何かを殴った鈍い音がした直後……視界が晴れ、顔を歪める雲雀と、勝ち誇った顔をする麗羅を見た。
爆発させた応接室から、獄寺と山本を引いて脱出する。
未だ伸びたままの二人を放って、麗羅が逃げた応接室の入口へ向かう。
すると、ツナが横たわった麗羅の身体を強く揺すっていた。
｢麗羅、麗羅ッ｣
｢おいダメツナ！ 麗羅を揺らすな！｣
俺はツナを押し退け、麗羅の口元に耳を近づけた。一定な呼吸音が聞こえる。
手首を抑えて脈を図ると、此方も正常な早さだった。
気絶しているだけらしい。柄にも無く取り乱してしまった俺は、安堵の溜息を吐いた。
ふと視線が痛い方を向くと、不安そうに麗羅を覗き込むツナの顔があった。
この俺が取り乱しているのを見て、心配になったのだろう。
｢脳震盪だ、命に別状はねぇ。お前は救急車を呼んで来い｣
「う、うん！」ツナは頷き、廊下を走って行った。
獄寺と山本はツナに任せて、俺は椅子に腰掛け、横の白いベッドで眠る麗羅を見遣る。
瞼が僅かに動いた後、麗羅はうっすらと目を開けた。
何度か瞬きをし、焦点が合ったのを確認してから、俺は声を掛けた。
「憶えてるか？」その問いに、小さく頷く麗羅。
きちんと記憶も意識もあって、もう心配はいらないだろうと、俺はずっと気になっていた事を尋ねる。
｢……ボンゴレ十代目の守護者になる為に、そしてトリニセッテの均衡を保つ為に来た、雪のアルコバレーノだよ｣
『トリニセッテ』『雪のアルコバレーノ』。
聞き流す事の出来ない それらの言葉に、俺は自分が過剰に反応したのが分かった。
麗羅の話を聞いて俺が気になったのは、ローシと云う男が何者であるかだ。
話からして、俺達を呪った男とローシは、別人だ。
しかし、ローシは只者では無い。人の魂の中に入り込むと云うのは、人間の領域を越えている。
雪の死ぬ気の炎に、幻覚破壊と完全記憶能力。
麗羅がかなり特殊である事は理解出来たが……麗羅の次の言葉は、到底信じられない物だった。
｢あたしは、自分の、皆の未来を、知っている｣
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レイチェル - S隊長さん» そう言って頂けると、嬉しいです。これからも頑張ります。ありがとうございます！ (2018年5月6日 11時) (
レス) id: e5404397aa (このIDを非表示/違反報告)
S隊長 - すごく面白くて更新を毎日楽しみにしています！！ (2018年5月5日 21時) (レス) id: c58740c157 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年4月30日 17時
