標的２ 出会いー１ ページ3
麗羅視点
｢此処、何処？｣
雪が降っている方へ進んでいたら、何時の間にか真っ白な空間の中にいた。
三百六十度見回しても真っ白が広がっていて、自分が何処にいるのか、分からない。
生まれて十二年暮らしてた山で迷うとは、恥ずかしいにも程があるだろう。
あたしは極度の方向音痴だと、自分でも分かっている。
それでも十二年間お世話になっている土地で迷う程だとは、思っていなかった。
(あーあ、フラン君に馬鹿にされちゃうなー)
なんて落ち込みながら歩いている、あたし。
其処へ、
｢よく来たな、麗羅。
オレの名はローシ。お前に頼みたい事があって、この雪の中に迷い込ませたイケメンだ」
自称イケメンの男性……ローシさんが現れた。
足首まである長い丈のローブを着、金色のサークレットを付けている彼は、白い肌に黒髪黒目で、確かに恰好良い。
自分で言わなければ、純粋にそう思えただろう。
それは兎も角、あたしに頼みたい事とは何だろうか。
そもそも、どうして あたしの名前を知っているのだろうか。
聞きたい事は山程あるのだけれど、取り敢えずあたしは、この人から距離を置く為に一歩後ずさる。
しかし、この人が二歩前進したせいで、距離がより近くなってしまった。
其処は普通、一歩近づく処だと思う。
二歩近づいてどうする。
｢言っただろう、お前に頼みたい事があると。
因みに拒否権は無い｣
キリッとした顔で言い放つ、ローシさん。
それに押し負け、渋々「何をすれば良いんですか」と訊くと、ローシさんは満面の笑顔で、「そう来なければ」と言った。
その笑顔に何故だか安心感を抱いてしまったが、ローシさんには絶対に秘密である。
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年3月14日 14時
