第121話:美希の推理。 ページ23
翌日
『ん…?』
朝、私が目を覚ましたのは、微かに漂う匂いのおかげだった。
食欲を刺激させる、料理の匂い。
パチリと目を開けると、ちょうど食事を運んできたのであろう若い看護師さんと目が合った。
看)「!313号室の患者さんが、目を覚ましましたー!」
美)「ね、姉ちゃん…!」
『美希…いっ!』
私が起き上がろうとするも、全身に鋭い痛みが走りうめき声がもれた。
美)「ま、まだ寝てなよ!」
看)「安静にしていてください!」
『っ…はい…あれ?美希、天兄や皆は…?』
看護師さんの言葉に従い、私は起き上がるのをやめて美希に聞いた。
美)「天兄は、お手洗い。他の皆さんは、昨日の夜の時点で面会時間じゃなかったからまだ来てないよ。うちや天兄は親族ってことで了承降りたけど。」
看護師さんが持ってきた食事を美味しそうに頬張りながら、美希は説明をしてくれた。
ふと、看護師さんを見ると照れくさそうな笑みで言い放つ。
看)「おふたりとも、あなたのことが心配で、何も食べていなかったので…安心したおかげで食欲も戻ったようですね。」
ああ、天兄達を心配してわざわざ食事を分けてくれたってことか。
『ありがとうございます』
看)「いえいえ!あっ、担当医を連れてきますね!それとあと10分程で面会時間ですので!」
パタパタと看護師さんが完全に立ち去ったのを見届けた後、私は美希に向き直る。
『さて、美希?何か聞きたいみたいだけど、何が聞きたいの?』
美)「……バレた?」
『わかりやすいんだよ。顔に書いてあるもん。?マークが。』
美)「そっか。なら…単刀直入に聞くね。…イジメの原因は、何。」
美希の言葉に、和やかな空気が一転、緊張感のある空気に変わる。
『…』
わかっていた質問のはずなのに、声が出ない。
美)「自分から聞いたくせに答える気はないんだね。まぁ、分かってたけど。」
『…』
私は俯いたまま、視線を美希に合わせまいと自分の拳を見つめる。
美)「秘密のどれかが、バレたんでしょ?」
『っ!』
美希の核心のついた言葉に、否応なしに肩がビクリと反応する。
美)「やっぱりか。じゃあ、ここからはうちの推測ね。」
『…』
美)「まず、男装の事じゃないと思う。うちがいじめっ子なら、すとぷりの皆さんにバラすって脅すけど…効果が薄いのは一目瞭然だし。つまり、男装のことはバレていない。ということは、自動的に、アレとアレも消える。残りはふたつだけど…これはもうその怪我の具合からお察しだよ。…しょうがいの事、でしょ?」
『っ…!』
??)「え」
4人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2022年8月26日 10時) (レス) @page21 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほりはる | 作成日時:2022年4月11日 8時