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第120話:目覚め(愛希side) ページ22

愛希side
『痛っ!って、え…?』
私が目覚めたきっかけは、自身の傷の痛みだった
一瞬、ここがどこか分からなかったが、嗅ぎなれてしまった消毒の匂いでここが病院の一室であることに気がついた。
痛みにこらえながら、体を起こして周囲を見る。
美)「(。-ω-)zzz…」
天)「っ!あ、愛希…!」
『天兄…それに、美希も…』
天兄は、トイレにでも行っていたのだろう。
ちょうど部屋の扉を開けた時で、私と目が合った瞬間、目に涙を浮かべてた。
『ちょっ、静かに!泣かないでよ…』
天)「グズッ、だって、だってぇ…」
子供のように泣きじゃくる天兄を必死に宥め、私は何があったのか問うた
天)「愛希、怪我が酷し、しかも病気のせいでかなり衰弱してたんだ、特に頭の傷、とか…」
天兄の言葉に、私はその時になってようやく自分の体に目をやった。
全身に、ガーゼや包帯が巻かれ、右足は折れているのか特に痛みが酷い。
ただ幸いなことに、服から露出している部分は擦り傷や切り傷が多いらしく、右足を除いた四肢は自由に動かすことが出来た。
『…この感触は、たんこぶ?あ、でも縫った感じだね、4針…かな?』
天兄の言葉に、私は自分の頭部に手をやりながら判断する
手から感じる凹凸具合から察するに、たんこぶか、縫ったのだろう。
そんな私の様子に、天兄は頷きながら、呆れたような安心したようなため息をつく。
天)「愛希も女の子なんだから、ちょっとは気にしなよ…」
『えへへ、まぁ、そうなんだけどね。あ、ところでさ天兄。』
天)「?」
『私の病気の具合、どう?怪我のせいで悪化とかしてる?』
私の一言で、和やかだった空気が一瞬でピリつく。
私は、覚悟を決めた目で天兄を見据えた…が
天)「…その話は、今はやめよ?ほら、もう夜中だし。今は…とにかく安静にしてないと、でしょ?」
振り絞ったような声と、複雑な笑みで天兄は、はぐらかした。
……ああ、何かあったんだな。
顔にこそ出さないよう努めたものの、私は天兄の様子と言動から直ぐに察した。
馬鹿だなぁ、バレバレだよ天兄。
けれど、私はその気持ちを悟られまいと笑顔を作る。
『確かに、早く寝ないと治るものも治らないもんね!』
底抜けに明るく、素直に見えるように祈りながら、私は天兄を見る。
天)「そ、その通りだよ!ほらおやすみ、愛希。」
『うん!』
ホッとした顔の天兄を見て、私も安堵しながら私は眠りについた。

第121話:美希の推理。→←第119話:目覚め



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ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2022年8月26日 10時) (レス) @page21 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほりはる | 作成日時:2022年4月11日 8時

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