百六十一歩目。 ページ12
―Aside―
『えりちゃーん！！』
「Aさん...！」
『わぁ〜！会いたかったよー！ワンピースかわいいねぇ！』
文化祭当日。通形くんに抱えられたエリちゃんがやって来ました。
白い襟付きシャツにオーバーオールの赤いワンピース。花飾りのついたショルダーバッグ。
超絶かわいい。天使だ。
「Aさんは、きもの？まっしろ...」
『これはおばけの恰好なんだよね！』
「Aちゃんのクラスはお化け屋敷をやるんだよね！エリちゃん行ってみるかい？」
「おばけやしき...、よく、わからない...」
『ん〜、真っ暗なところでバーン！！っておばけが飛び出してくるの。エリちゃんにはちょーっと怖いかも。今日は明るい思い出をたくさん作って欲しいからおばけやしきはまた今度にしよっか！』
「そうだね！今日はデクくんのクラスを見て楽しいところ回ろうか！どうかな、エリちゃん」
「あ...、えっと、あの、Aさん、また会える...？」
息が止まるってこういうことね。理解した。
死因が「かわいい」になるのも有り得ない話じゃないな？？
屈んでもエリちゃんの方が少し背が低いから上目遣いになるんだよね。
ただでさえかわいい子がかわいい服着て可愛いの上位互換みたいになってるのに、上目遣いだなんて心臓握りに来てるよね。
おっと、まずい。返事しなさ過ぎて不安な表情させちゃってる。
『もっちろん！エリちゃんがいいなら毎日でも会いに行くよ？』
「！ ほんと...？うれしい、」
『私もうれしい。よーし、じゃあ今日はいっぱい楽しんでおいで！』
「うん、！」
前に会った時よりもずっと明るくなった。
ここ最近は通形くんがエリちゃんに会いに行ってるから通形くんの明るさがエリちゃんにも伝わってるんだろうな。
まだ少しおどおどしてるけど、きっとすぐに満面の笑みを見れる。
あとでまた会う約束をして、二人と別れた。
私もそろそろクラスの方に戻らないと。
任されたからにはしっかり透明人間の役をこなさないとね！
・・・
「でたあああああああ！！！」
「置いてくなよぉおおお！！！」
「ぎぃやああああああああああああ！！！」
「お前自分のクラスだろ...。今の遮止だからな？」
「おっ、」「むっ！？」
ボゥッ
「驚いたのは分かるが"個性"は使用禁止だぞ、轟君！」
「あぁ、悪い」
「ひぃっ！！梅雨ちゃぁあああああっ！！！」
「ケロ、今のは驚いたわ。どういう仕組みかしら」
「梅雨ちゃん冷静すぎんっ！？」
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2023年3月30日 22時
