百五十八歩目。 ページ9
―Aside―
エリちゃんと話せたのは20分くらい。思ったより面会時間が迫ってた。
なんてこったい、あんな天使との触れ合いタイムがこんなに短いなんて。
【過去視】で見たエリちゃんよりも何倍も可愛かった。
笑顔は見れなかったけど、ゼリー渡したときとか食べてるときとかはほわほわしてて嬉しそうだったから満足。
エリちゃんからもお話してくれて、通形くんたちに誘ってもらった文化祭が楽しみでわくわくさんなんだって。
可愛すぎて悶えてたら心配させちゃった上に相澤先生に変な目で見られた。
逆に先生は何で悶えてないんですか？？？って目で訴えても睨まれただけだった。
何はともあれ、怖がらせずに済んで良かった！
あんな可愛い子に拒絶されたら傷付くからね。エリちゃんはなんも悪くないんだけど。
オーバーホールの目的は何であれ、人を傷付けないと達成できないならそれは"悪いこと"だ。
エリちゃんが負った傷は浅くない。あの環境に居ても良い子でいれてるエリちゃんを世界規模で褒めていいと思うんだよね。
「Aちゃん？ボーっとしてるけどどうかした？」
『ん、ちょっと天使について考えてた』
「天使？？」
『あー、でも天使って言ったら透ちゃんもか。うん、可愛いは天使。陸に住む系の』
「？？よく分かんないけど相澤先生の顔すごいよ！」
『え』
そうだわ、今授業中。しかも午後のヒーロー科の。担当に相澤先生。
チラっと横目で見たら髪逆立ってた。行動だけなら怒った猫なんだけどな。表情が愛らしい猫とかけ離れてるわ。
『あ、次私救護者役やりまーす』
思いっきり視線逸らしてから手を挙げてそそくさ離れる。
今は救助訓練中なのでね、13号先生もいらっしゃるんですよ。
相澤先生暇なんかな。あ、でもこの間溺れた緑くん助けてたな。水にも強い捕縛布すご。
「じゃあ、おろすよ〜！」
『お願いしまーす！』
お茶子ちゃんの【無重力】で崖下に降りていく。
ヒーロー科じゃ救助役が人気だから立候補すればすぐ救護者になれるんだよね。
おかげで相澤先生の目から逃げられたぜ！
降りたところにはカラスくんがいた。どうやら彼も救護者役らしい。
片手をあげて『よろしく〜』と言えば彼も片手をあげて「よろしく頼む」と返事をしてくれた。
影くんも「ヨォ！」と手をあげる。意志を持った"個性"って珍しいよなぁ。
『影くんってカラスくんの子供だったりする？？』
「何を言ってるんだ...？」
「アホダコイツ！！」
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2023年3月30日 22時
