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稜雅side
晃一に呼ばれて、誰もいない渡り廊下へと来た。
稜「で？俺に用ってなんだよ」
晃「いやな、お前も、Aの事好きやろ？」
唐突な質問に思わず黙った。
冗談で聞いてるわけじゃなく、晃一は真剣だ。
稜「…うん。最近気づいたんだよね〜」
それにいつものお調子者具合で返す。
晃「お前らしいわ(笑)それで？言わへんの？」
いつものアヒャヒャ笑いをした後、少し砕けた様子で聞いてくる。
稜「言わないかな〜。Aは海が好きみたいだし」
晃「そう言ってたんか？」
稜「いや。海と里奈ちゃんがいるの見ると心臓が痛いんだってさ」
絶対無理だろ(笑) と笑って晃一の方を見ても、晃一は一切笑ってなかった。
晃「それで言わなくてええんか？」
稜「拓弥との事もあって、海の事もあってって、Aの中できっと今はごちゃごちゃだと思う。そこに俺の事まで入ったらもう爆発しちゃうっしょ。あいつ」
晃「…海ともし付き合ったら…どうするんや」
その言葉に、一瞬想像をしてしまった。
2人が一緒に歩いているところ。
2人が手を繋いでいるところ。
想像すると、胸が締め付けられるように痛くて、手にギュッと力を込めて必死に頭から消した。
稜「…もう、本当に、自転車の後ろには乗せられねぇな。Aは嫌がるだろうけど、中学のアルバム見せてやるよ。海に」
晃一は下を向いて、小さな声でそうか。とだけ言って、俺の背中を軽く叩いてクラスへと戻って行った。
稜「あ〜…なんで今気づくかな〜。…俺はずっと一緒にいたのに…」
生まれて初めて、こんなに苦しい思いをした。
それと同時に、2人には幸せになってもらいたいとも感じているから、この気持ちは、残酷だ。
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作者名：朝日奈 | 作成日時：2017年4月13日 19時
