検索窓
今日:370 hit、昨日:181 hit、合計:59,007 hit

42.思いは託す ページ42

『みんな!』
「Aさん!」
「Aちゃん!勝ったべ〜」
『見てました、ちゃんと見てました』

及川と岩泉に送り出され、観客席から急いでみんなが待っているであろうエントランスへと急いだ。
見慣れた真っ黒なジャージの後ろ姿を見つけた瞬間、人目も気にせずに大きな声が出てしまったが、振り向いたみんなの笑顔を見て、また目元が潤むのを感じた。

「俺の活躍ちゃんと見てたかー!?」
『はい!西谷先輩の素晴らしいディグ見てました!』
「俺は!俺はどうだった!?」
『うん!日向くんも格好良かったよ!速攻バンバン決まって目立ってた!」
「うぉおお!目立ってた!?俺目立ってたって!」
「うるせぇ日向ボケェ!」
「Aさん、俺たち次も絶対勝つから!なっ、影山!!」
「うす」
『うん、次もしっかり応援してるから』
「ちょっと」
『え、何?』

みんなと和気藹々と話していたところ、後ろから声をかけてきた月島に手首を掴まれ、みんなから少し離れたフロアの角に連れて行かれる。

「A泣いたでしょ」
『え!な、なんで…』
「あのバカたちは気付かないかもだけど、目赤いよ。ほら、腫れるから冷やしときな」

そう言って差し出されたのは、叩くだけで瞬間冷却される保冷剤だった。
月島は一見他人に無関心で冷たいように見えるが、しっかりと周りを見ているし、こういうところが優しいのだ。

『…ありがとう月島くん』
「たった一つ勝っただけなんだから落ち着きなよ。君、これから先も毎回そうやって泣くつもり?」
『だって今回は初めての公式戦だったし』
「たかが部活なんだし、ましてや君はプレイヤーでもないんだからさ」
『…うん。今まで知らなかったけど、何にもできないって悔しいって思い知らされたよ』
「は?」
『だから、月島くんは私の何もできないっていう悔しい思いも背負って!ちゃんと頑張ってね!応援してるから』

月島の手を握りながら、いつものようにふざけあって言っている雰囲気ではない、しっかりと目を見て気持ちを伝えるAの気迫に、少しだけ目を見開いて反応する月島。

「…なんなの君、急にどうしたわけ?」
「あっ、ツッキー!鵜養コーチが探してたよ」
「はいはい」
「ん?Aさんなんかあった?」
『ううん、山口くんにも私の思いは託すからね!』
「え?うっ、うん!」

43.道を切り開け→←41.1回戦



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (77 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
341人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 影山飛雄 , HQ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

るき(プロフ) - 累さん» コメントありがとうございます。応援していただけると筆が進む気がします!またぜひ覗きにきてくださいね。 (3月16日 23時) (レス) id: e988f06362 (このIDを非表示/違反報告)
- めちゃめちゃ面白くて一気に読んでしまいました!更新大変だと思いますが、続きを楽しみにしています!! (3月16日 22時) (レス) @page16 id: 5643604c2b (このIDを非表示/違反報告)
るき(プロフ) - 狛さん» コメントありがとうございます。まだ全然キャラたちと絡むことができず焦っております…笑 またぜひ覗きにきてくださいね。 (3月16日 15時) (レス) id: e988f06362 (このIDを非表示/違反報告)
- 題名見たとき「お、恋愛もんもんって感じするな〜」って思ってたら夢主ガチで面白いです(笑)キャラとの絡みが楽しみです!更新頑張ってくださいね! (3月16日 12時) (レス) @page16 id: c4f896039b (このIDを非表示/違反報告)
るき(プロフ) - ちびさん» コメントありがとうございます。とっても励みになります!ぜひまた覗きに来てくださいね。 (3月15日 18時) (レス) id: 6fb8554a8a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:るき | 作成日時:2024年3月12日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。